【令和2年度改定】2020年度診療報酬改定のポイント整理(これだけは押さえておきたい重要情報)

医療情報編 2019.12月18日更新(※最新情報を追加・編集していますので、ご安心して閲覧いただけます)
 
本ページでは、2020年度診療報酬改定に向けた審議のうち、答申前の重要情報を抜粋して整理しております。
余計な情報や劣化した情報に振り回される心配はありません。
(算定要件の詳細や疑義解釈、厚労省説明会などの答申後の情報は、別にページを作成する予定です)
 
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確認 Keyword

・2020年度 改定スケジュール

・改定の基本方針改定率

・改定審議のトピックス

・個別改定項目(点数なし)

■ 2020年度 改定スケジュール

  • 年内は、中医協において「既存点数の算定要件と点数の見直し」および「新設点数の設定」の審議が行われつつ、社会保障審議会における「改定の基本方針」の策定、そして年末に「改定率の決定」などが待ち受けています。2月中旬の答申前までは改定の方向性が重要視されますが、答申後は点数の情報が加わることでガラリと空気が変わりますので、本ページでは答申前までの情報集約を予定しております。
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  • 押さえておきたい改定スケジュール

  • (1)基本方針の策定、改定率の決定      :基本方針は12月10日、改定率は12月17日に決定
    (2)諮問および現時点の骨子(議論の整理)  :1月中旬(前回1月12日)
    (3)個別改定項目案の公表(点数なし)    :1月下旬(前回、その1~2に分けて公表)
    (4)個別改定項目の決定(点数あり=答申)  :2月上旬(前回2月7日)
    (5)点数算定の要件など公表(官報告示)   :3月初旬(前回3月5日)
    (6)厚労省疑義解釈及び各団体Q&A     :3月下旬(前回3月30日以降随時、日医Q&Aは3月5日)
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■ 改定の基本方針や改定率

  • 改定の基本方針・重点課題

  • 2020年度改定は『健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた「全世代型社会保障」の実現』をメインテーマに、「医療従事者の負担を軽減し、医師等の働き方改革を推進(視点1)」を重点課題に掲げる基本方針が、2019年12月10日に決定されました(下図)。「地域包括ケアシステム」は視点1から視点3へ事実上の降格となり、働き方改革を前面的に推進していく方向性が鮮明になってきた点に注目です。ここ数回の改定において「地域包括ケアシステム」の構築を目指した改定内容が目白押しでしたが、2040年を見据えた「全世代型社会保障」へとキーワードが切り替わった点を押さえておきましょう。「地域包括ケアシステム」が廃れるとか無くなるとかいう話ではなく、「地域包括ケアシステム」の構築は「地域共生社会」の実現に向けた通過点だったと理解することが大切です。
 
基本方針は、2040 年の医療提供体制の展望を見据え、地域医療構想の実現に向けた取り組み、実効性のある医師偏在対策、医師・医療従事者の働き方改革を三位一体で推進し、総合的な医療提供体制改革を実施していくため、医師等の働き方改革を重点課題に据えるとともに、健康寿命の延伸や全世代型社会保障への取り組みが重点化されています。
 
重点課題となった医師等の働き方改革に関しては、2024年4月から医師の時間外労働の上限規制が適用される予定であり、各医療機関は自らの状況を適切に分析し、労働時間短縮に計画的に取り組むことが大きな課題となっています。その課題を解消するため、厳しい勤務環境を改善する取り組みに対して、医療機関内における労務管理や労働環境の改善のためのマネジメントシステムの実践に資する取り組や、タスク・シェアリング/タスク・シフティングおよびチーム医療を診療報酬上で評価されていきます。この他、届出・報告の簡素化を図りつつ人員配置の合理化、ICTを活用した医療連携の取り組みなどを推進する改定が実施されていきそうです。
 
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医療機関等における「働き方改革の概要」をこちらをご参考にしてください。
 
 
  • 改定率

  • 2020年度改定の全体改定率は、12月17日に来年度予算編成の中で、厚労相と財務相の大臣折衝により、約500億円の削減規模となる▲0.46%相当と決定しました。その内訳は、診療報酬本体が+0.55%、薬価・材料は▲1.01%となり、診療報酬本体の内訳は技術料の比率に応じた医科:歯科:調剤=1:1.1:0.3が維持され、医科+0.53%、歯科+0.59%、調剤+0.16%となりました。
    注目すべきは、これとは別枠で使途が特定された特例対応として「救急医療の提供実績が一定以上の病院への働き方改革の推進」に+0.08%が本体部分に充当された点です。その理由は、前述した基本方針の重点課題に掲げた働き方改革を実現するためには、特に長時間勤務が過剰な救急病院等の労働環境の改善が課題となっているからです。さらに、地域医療介護総合確保基金における支援(補助金)に関しても注目される動向となります。
    なお、2000年以降の改定率の推移(下表)を確認すると、2002~2008年は小泉政権による聖域なき構造改革の一環として、本体改定率もマイナスとなりました。その後、前々回改定以降も全体改定率がマイナスに転じて厳しい改定が続き、今回も含めて4回連続のマイナス改定となっています。
     
  • https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000577669.pdf
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■ 改定審議のトピックス・注目ポイント

  • 入院(主に病院)

  • 前回の2018年度改定において、抜本的な入院料体系の見直しが行われたため、今回は一部テコ入れが中心になると思われます。ただし、一部テコ入れと書きましたが、地域医療構想に掲げる病院再編を誘導する「算定要件」の強化は前回以上になると予想され、各種基準の引き上げによる「ふるい落とし」の敢行に注意しなければなりません。その理由は、前回は体系見直しを主としていて要件の見直しを保留(甘めに設定)していた傾向があるからです。
  • 改定前の対策としては「各種基準の実績(アウトカム)」をより意識していくことがポイントになります。現状以上の実績が難しい場合には、入院料の格下げをシミュレーションし、収入減になるようであれば、新たな収入源の確保とコストカット、あるいは人員配置の見直しや抜本的な機能転換、病床削減が必要になるでしょう。改定後に行うより改定前に事前に様々な想定をしてくことで、その場しのぎの対応から脱却することが可能です。
  • 働き方改革に対する評価は、救急搬送の実績のある医療機関が算定できるよう、「救急医療管理加算」の見直しにおいて重点化される可能性が高まりました。この他、働き方改革を誘導する点数・施設基準にも注視していく必要がありそうです。予測の範疇ですが、各医療機関では自らの状況を適切に分析し、労働時間短縮に取り組むため、2021年度中に「医師労働時間短縮計画」の作成が求められている点を踏まえれば、この計画書の策定(プロセス)が「入院料の加算」として反映される可能性もあるでしょう。あるいは、新たに設置される「評価機能」による評価(アウトカム)も今後の2022改定以降に盛り込まれてくるかもしれません。院長・事務長クラスは「医師労働時間短縮計画」と「評価機能について注視していく必要があるでしょう。
 
 
  • 外来・在宅(主に診療所)

  • 外来は、例年通りに微風の改定になると予想されます。基本的に、機能強化加算のような時限的なかかりつけ誘導点数は役割を終え、見直しとなる可能性はありますが、依然として急性期~回復期~慢性期~在宅~介護の機能分化における患者の入院から在宅への移行において、かかりつけ医の役割が欠かせません。引き続き、かかりつけ医によるコーディネート・連携が評価のポイントになると思われます。
  • さらには、医療費適正化の観点だけでなく、高齢患者のQOL向上の観点から、ポリファーマシーやフレイル対策の評価に注目です。ポリファーマシーは薬局との服薬管理(対人業務)の徹底、フレイル対策では管理栄養士や歯科医師との連携による栄養管理やオーラルフレイルの評価が考えられます。この他、オンライン診療の評価として、対象患者の拡大(ニコチン依存症、慢性頭痛、在宅自己注射)も見込まれます。
 
 
  • 調剤(薬局)

  • 薬局は、収入の約7割を占める「薬剤料」が薬価改定の影響が最も懸念されます。そして、残り3割の「技術料」に関しても見直しが予想されるため、注意が必要です。ポイントになるのが薬局ビジョンに掲げる対物業務から対人業務へのシフトであり、これは調剤料と薬学管理料のウェートの見直しによって誘導されると思われます。つまり、調剤料の引き下げと引き換えに、薬学管理料の引き上げが予想されるということです。
  • 薬学管理料は薬局機能(施設基準)に応じて細分化される可能性も考えられ、もちろん施設基準や算定要件の強化がつきものですので、薬学管理料の引き上げの恩恵を受けるためには改定前の対策が欠かせません。施設基準や算定要件の強化が見込まれる点数は、薬局ビジョン(=対人業務、在宅業務、社会的使命など)の実現に欠かせない薬局機能であり、例えば年間実績10件が20件へと倍増されることも十分考えられるため、改定前にいかに実績(アウトカム)を稼いでいくかが改定後の経営安定化の鍵を握るでしょう。この他、薬機法改正によりオンライン服薬指導が解禁された点を踏まえると、オンライン診療の対象者を限定する新たな管理料が創設される可能性も高まっています。 
 
 
 

■ 個別改定項目(点数なし)

  •  2020年1月掲載予定・・・・
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改定審議の着目ポイント

2019年10月の消費税10%への引き上げに伴い、「社会保障・税一体改革」は完遂しました。それに替わるのが、基本方針にも盛り込まれた「全世代型社会保障」です。「全世代型社会保障」は基本的にはこれまでの施策の延長であり、特に重視されているのが「給付と負担」の見直しです。所得・資産に応じた負担を患者・利用者に求めていく方針であり、最終的には「マイナンバーカードおよびマイナポータル」を起点とした健康と財産(税金)の管理を連動させて、持続可能な社会保障制度に適応させていく方向になると予測されます。
 
診療報酬改定は、ミクロ的には医療機関や薬局の経営を左右する側面がある一方で、医療費をコントロールしつつ、これらの施策を誘導するマクロ的な役割がある点を再認識することが大切です。
 
(作成:ヘルスケア情報専任者 笹森昭三) 
 
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