2026年度改定に向けた課題整理「基本方針の策定に向けた基本認識、基本的視点、具体的方向性①」
2025/09/29
今回は、2025年9月26日、社会保障審議会医療保険部会において示された「基本方針の策定に向けた基本認識、基本的視点、具体的方向性①」のポイントを整理していきます。
基本方針の策定に向けて示された具体的な方向性の例は、以下の4つの基本的視点に沿って整理されています。
■ 4つの基本的視点に基づく具体的な方向性(例示)
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1. 物価や賃金、人手不足などの医療機関等を取りまく環境の変化への対応
○医療機関等が直面する食材料費等の各種費用の高騰を踏まえた対応
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○賃上げや業務効率化・負担軽減等の業務改善による医療従事者の人材確保に向けた取組
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2. 2040年頃を見据えた医療機関の機能の分化・連携と地域における医療の確保、地域包括ケアシステムの推進
○患者の状態及び必要と考えられる医療機能に応じた入院医療の評価
○「治し、支える医療」の実現
○かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の機能の評価○外来機能分化と連携○医師偏在対策の推進○医療資源の少ない地域への支援○タスクシフト/シェア、チーム医療の推進 -
3. 安心・安全で質の高い医療の実現
○医療DXやICT連携を活用する医療機関・薬局の体制の評価
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○アウトカムにも着目した評価の推進
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○重点的な対応が求められる分野への適切な評価(救急医療、小児医療、周産期医療等)
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○口腔疾患の重症化予防等の生活の質に配慮した歯科医療の推進、口腔機能発達不全及び機能低下への対応の充実、歯科治療のデジタル化の推進
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○地域の医薬品供給拠点としての薬局に求められる機能に応じた適切な評価、薬局・薬剤師業務の対人業務の充実化
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○イノベーションの適切な評価や医薬品の安定供給の確保等
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4. 効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上
○OTC類似薬等の薬剤給付の在り方の検討
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○費用対効果評価制度の活用
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○市場実勢価格を踏まえた適正な評価
(考察)
特にサプライズはなく、手堅い内容ばかりです。「OTC類似薬等の薬剤給付の在り方の検討」は、骨太方針2025や自公維3党合意も踏まえた保険適用除外の既定路線といえます。
今後の改定に向けたスケジュールは、12月中旬に改定の基本的な方向性が定める「基本方針」を決定し、年末の予算編成過程で診療報酬本体と薬価等の「改定率」が決定されます。
年明け1月に厚生労働大臣が中医協に対して「諮問」を行い、個別改定項目の具体的な点数設定や算定要件などが議論され、その審議結果を踏まえて2月に「答申」されます。そして、3月には告示や関連通知の発出、薬価改定は4月施行、診療報酬本体は6月施行が予定されています。
▼2026年度診療報酬改定のポイント整理