2026年度改定に向けた課題整理「調剤その2」
■ 調剤その2
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【処方箋集中率が高い薬局の増加】 いわゆる門前薬局の割合は増加(集中率85%以上の薬局の割合は2015年の32.5%から2024年には39.3%に増加)。多くの薬局が依然として立地に依存しており、地域への移行が全く進まない恐れがあることが指摘。
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【薬局・薬剤師の偏在による課題】 地方・過疎地域で医療提供体制の維持に支障が生じ、特に医薬品提供や在宅サービスへの対応が困難。薬剤師一人あたりの高齢者人口増加により、地域医療提供体制が脆弱に。
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【都市部での集中(小規模乱立)】 十分な機能を持たない小規模薬局の設置を誘発し、地域医療提供体制の非効率化や、医薬品流通への負荷(過剰な流通在庫の発生、供給不安の助長)を招く。患者が薬局を近さのみで選び、薬歴の一元化が成立しにくい。
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【調剤報酬の簡素化】 調剤報酬体系の複雑化を解消し、患者や関係者にとって分かりやすい診療報酬体系となるよう検討が必要。
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【調剤基本料と収益構造】 特別調剤基本料Aを算定する薬局は、2024年度改定後に損益率および損益差額がマイナスとなっており、医療機関との不動産取引による影響が考えられる土地賃借料、建物賃借料の額が高いことが指摘。医療モール内や診療所敷地内の薬局(特別調剤基本料Aを除く)は、総じて損益率が高い傾向。
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【機能と加算の届出状況】 特別区(東京23区)や政令指定都市にあり、処方箋集中率が高い(85%以上)調剤基本料1算定薬局は、薬局全体に比べて地域支援体制加算や在宅薬学総合体制加算の届出状況が低く、提供機能が限定されている実態。
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【薬剤師の専門性と医療の質の向上】 複数の医療機関を受診している患者の服用薬の一元管理(一元化率)は、薬局数が少ない地域の方が高く、一元管理されている患者はされていない患者に比べ服用薬剤数が少ないことが示され、一元管理の重要性の裏付けに。
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【薬剤調製料 無菌製剤処理加算関係】 6歳以上の小児の薬剤調製の実情に鑑み、無菌製剤処理加算に加点する患者対象年齢の範囲。
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【過度な患者誘引(療担に抵触)】 ポイント付与(経済上の利益のトンネル提供)や配送料無料の広告(不適切な宣伝)への対処。
(考察)
集中率の厳格化による調剤基本料の適用範囲の見直しは、今回もほぼ確定的な方向性です。
今回示された「集中率85%ライン」へのメスをはじめ、調剤基本料1だけでなく、「調剤基本料2の絞り込み」、集中率低減対策の「施設処方箋の取り扱い」など、一部の薬局に影響がありそうな内容です。
改定は、薬局ビジョンを後押しするための誘導策であり、ビジョンに沿った経営を行わない薬局に対する基本料の絞り込みという形で厳しい評価が下される流れは、この先もずっと続くでしょう。

