2026年度改定に向けた課題整理「入院医療その7 急性期入院医療その2、高度急性期入院医療その2」
■ 急性期入院医療その2
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【施設基準の改定】 看護必要度の評価項目の見直しに伴い、急性期一般入院料1~5や総合入院体制加算などの施設基準で求められる該当患者割合の基準値が改定案として提示。
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【改定後の基準案】 例えば「急性期一般入院料1」の「必要度Ⅱ」の場合、「割合①: 20%」と「割合②: 27%」の2つの基準(いずれかを満たす)を示唆(現行は許可病床200床以上で28%など)。
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【内科系領域の適切な評価】 負荷の高い内科系症例で頻回に行われる診療行為や医薬品を、看護必要度のA項目(モニタリング及び処置等)およびC項目(手術等の医学的状況)に追加することを提案。
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【追加候補の選定】 内科系DPC分類の負荷度ランクD・Eランクの疾患で実施される割合が高く、モラルハザードが起きにくいことなどを考慮。特に負荷度の高いDランク(+4.2ポイント)、Eランク(+7.3ポイント)で改善。
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【シミュレーション結果】 この追加案を採用した場合、手術なし症例全体で該当患者割合が約+3.5ポイント改善し、手術あり症例との該当患者割合の差が約1.5ポイント縮減。
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【追加候補の例】 C21(救命等に係る内科的治療)に「中心静脈注射用カテーテル挿入」「吸着式血液浄化法」などが、A6(専門的な治療・処置)に新たな抗悪性腫瘍剤などが追加候補。
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【検討の理由】 内科系疾患は手術症例に比べ看護必要度の点数が得られにくいが、救急搬送から入院する割合が高いことを踏まえ、救急患者に重みを付けて評価する方法を議論。
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【救急搬送による入院後の該当日数を増やす】 入院延長へのインセンティブが生まれる懸念がある 。
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【救急搬送の受け入れを指数化して該当患者割合に合算する(推奨される方向性)】
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○病床数あたりの年間救急搬送受入件数に一定の係数を乗じた割合を、看護必要度該当患者割合に加算する方法。
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○入院延長へのインセンティブが生まれにくい(入院しない場合や退院までの日数が短い場合も評価対象に含められるため)。
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○シミュレーションでは、内科系AC項目追加とこの救急加算を組み合わせることで、救急搬送受入件数が多く手術なし症例が多い病棟で該当割合が大きく上昇する結果。
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○救急搬送へのインセンティブを生じさせないため、救急搬送患者だけでなく、協力施設入所者入院加算の対象患者を加えて評価することも検討。
■ 高度急性期入院医療その2
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【ICU版看護必要度の見直し:A・C項目の追加の検討】 「ICU版看護必要度」の基準に該当する患者割合のシミュレーション結果を踏まえ、「蘇生術の施行」「抗不整脈剤の使用」「緊急ペーシング」の3項目を新たに基準へ追加し、重症度の高い患者の評価をより適切に行うべきか。
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【SOFAスコア要件の見直し:適切な水準の検討】 SOFAスコア(臓器不全の程度を評価するスコア)が一定基準以上である患者の現状の割合を踏まえ、該当患者割合の要件をどの水準に設定することが、真に重症度の高い患者を受け入れているICUを評価する上で適切であるか。
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【HCU版看護必要度の見直し:A・C項目の追加の検討】 HCU版看護必要度のシミュレーション結果を踏まえ、特に急性期の集中管理が必要な患者の評価を充実させるため、「抗不整脈剤の使用」と「緊急ペーシング」の2項目を新たに基準へ追加すべきか。
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【要件割合の適切な水準の検討:該当患者割合の調整】 新たな評価項目の追加に伴う該当患者割合の変動を考慮し、要件割合の適切な水準をどのように設定すべきか。
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【実績に応じた評価の検討】 「超急性期脳卒中加算」や「経皮的脳血栓回収術」に関する病院の実施実績(件数など)により、SCU算定患者の医療資源投入量に差が見られたことを踏まえ、これらの高度な急性期治療を積極的に行っている施設の評価をどのように行うべきか。具体的には、実績に応じた施設基準の厳格化、または加算の拡充・新設といった形で、評価に差を設けるかどうかが焦点。

