2026年度改定に向けた課題整理「入院医療その5 回復期リハ病棟、リハビリ、病棟における多職種連携」
■ 回復期リハ病棟
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【リハビリテーション実績指数の基準値の見直し】 実績指数の基準値を引き上げること、また、実績要件のない入院料区分(入院料2、4)をどのように位置づけるか 。
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【リハビリテーション実績指数からの除外基準の見直し】 現行の基準で病棟の機能が正しく評価されていない場合があるため、除外基準全体を見直すべき。「80歳以上」や「認知機能が低い」患者(FIM認知項目24点以下)は、患者全体と比べてFIM利得(改善度)に大きな差がないというデータもあり、これらの患者を実績指数の計算対象から一律に除外する必要性は乏しいのではないか。
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【重症患者の受け入れ状況】 重症患者の受け入れを促すために重症患者割合(入院料1・2では4割以上、入院料3・4では3割以上)が設定されているが、極めて重症な患者(入棟時FIM総得点20点以下など)はFIM利得が全体と比べて小さく、高い基準を満たすために集中的なリハビリテーションが困難な患者の入棟を余儀なくされている可能性について懸念。
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【運動器リハビリテーション料の算定単位数の見直し】 運動器疾患の患者については、1日6単位を超えて実施してもADLの明らかな改善が見られなかったことを踏まえ、6単位を超えたリハビリテーションを実施できる対象患者について見直し、分析を深めるべきとの意見がある。
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【廃用症候群リハビリテーションの評価】 廃用症候群リハビリテーションについても、7単位以上における実施単位数増加に伴うFIM改善の度合いが脳血管疾患等リハビリテーションに比べて低いものの、改善は確実に上がっており、慎重に議論を行うべき。
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【体制強化加算の廃止】 令和6年度改定にて、回復期リハビリテーション病棟入院料の体制強化加算1および2が廃止された 。
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【栄養評価の要件化】 質の高いリハビリテーションを支えるため、GLIM基準による栄養評価が要件化されるなど、多職種連携による栄養管理の重要性が高まっている 。
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【退院後の生活支援】退院後の生活に関わる地元の医療機関や介護施設等とのカンファレンスや情報共有の場を確保できる仕組みを検討。
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【退院前訪問指導の評価】退院前訪問指導の実施割合は3~5%と低いが、多職種で半日程度の労力を費やしており、その労力に見合うよう評価されれば、より実施されるのではないか。
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【他病棟との機能分化】 回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟におけるリハビリテーションのあり方について、その機能と役割の分化について議論が必要。
■ リハビリ
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【発症後早期のリハビリテーション開始の推進】 入院3日以内にリハビリテーションを開始していない患者が一定割合存在することを踏まえ、疾患別リハビリテーション料の注加算として規定されている初期加算等の在り方について検討する。
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休日のリハビリテーション実施体制の評価】 休日のリハビリテーション提供が少ないことを踏まえ、休日のリハビリテーション実施体制の評価について検討する。
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【専従要件と業務関与の明確化】 専従の療法士配置が他のリハビリテーション業務への関与を妨げたり、算定上不明瞭な点が生じていることを踏まえ、専従要件や評価のあり方について検討する。
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【実施上限単位数の統一化】 回復期リハビリテーション病棟では運動器リハビリテーション料の上限が1日6単位とされたが、入院する病棟により同じ患者でも1日あたりの実施上限単位数が異なる(別表第九の三の3番目の規定)ことを踏まえ、評価のあり方を検討する。
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【床上で離床せず行うリハビリテーションの評価】 床上で離床せず行うリハビリについて、単体での効果が高くないことや、療法士の負担が比較的小さいと考えられることを踏まえ、評価のあり方を検討する。
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【医療機関外でのリハビリテーション実施】 医療機関外の疾患別リハビリテーションを1日60分を超えて実施している医療機関が一定程度あることを踏まえ、評価のあり方を検討する。
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【退院時リハビリテーション指導料】 疾患別リハビリテーション料等を算定していない患者や短期入院の患者についても算定されていることを踏まえ、対象患者について検討する。
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【摂食機能療法】 食事観察や介助のみで介入している病棟が一定数見られたことを踏まえ、必要な介入について検討する。
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【リンパ浮腫複合的治療料】 現行の算定要件(1回20分ないし40分)に比して1回の指導に比較的長い時間を要することや、アクセス困難な地域があることを踏まえ、その評価について検討する。
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【計画書のあり方】 リハビリテーション実施計画書とリハビリテーション総合実施計画書の様式の類似や、作成頻度と説明頻度との乖離を踏まえ、疾患別リハビリテーションに必要な計画書のあり方を検討する。
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【計画書や評価のあり方】 目標設定等支援・管理シートとリハビリテーション総合実施計画書の重複項目が多いこと等を踏まえ、計画書や評価のあり方を検討する。
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■ 病棟における多職種連携
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【評価のあり方】 現行加算の成果を維持・拡大するため、この加算の評価のあり方をどうするか。
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【要件の見直し】 届出を促進し、取り組みを広げるため、**要件(療法士の配置基準や休日実施の要件など)**をどのように見直すか。
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【柔軟な配置の導入】 病院全体の多職種配置を基本としつつ、病棟の特性や患者層(特に高齢者)に応じて、管理栄養士や療法士などを病棟専従・専任に近い形で柔軟に配置できる仕組みを検討。
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【病棟業務の評価】 多職種の病棟におけるチーム医療への貢献や、患者の生活機能・栄養状態の改善に向けた病棟での活動を、診療報酬上で適切に評価できるか。
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【退院後支援の重要性】 特に重症度の高い患者が多い特定機能病院において、退院後の栄養管理の継続は再入院予防やADL維持に重要であるため、専従管理栄養士が地域連携の一環として、退院後の患者を支援できる仕組みや、その評価の必要性を検討。

