2026年度改定に向けた課題整理「秋の建議=予算編成に向けた財務省の提言」
■ 重点ポイント「現役世代の負担抑制」
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【最大の焦点】 賃上げの動きを可処分所得の増加に確実につなげるため、現役世代の社会保険料負担の増加を最大限抑制することが最重要課題として掲げられています。
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【診療報酬改定との関係】 診療報酬や介護報酬の改定率(全体のプラス・マイナス)は、この財政状況の議論を経て内閣が決定します。資料では「さらなる給付費用の増加は現役世代等の社会保険料負担の増加に直結する」と釘を刺し、全体として診療報酬の適正化(マイナス)の必要性を強く主張しています。
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■ 2026年度診療報酬改定の方向性
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▼病院への重点的な支援のため、診療所・薬局の報酬の適正化が不可欠
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【病院】 病院経営では、医薬品や医療材料、光熱費といった物価の上昇の影響を大きく受けています。また、看護師などの医療従事者の賃上げに伴う人件費の増加も、診療報酬という公定価格では賄いきれていない状況があります。病院への重点支援は、医療産業全体の持続可能性を高めるための戦略的な措置でもあります。経営が厳しい病院に財源を重点的に配分することで、医療現場で働く人々の士気向上と人材確保を図る狙いがあります。
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【診療所】 地域で全人的なケアを担うかかりつけ医機能を重点的かつ包括的に評価する一方で、現行の「機能強化加算」の廃止を含めた抜本的な見直しや、「外来管理加算」「地域包括診療料・加算」の抜本的な見直しが提案されています。また、医薬分業が進む中での処方箋料(院外処方)の適正な水準についても検討を求めています。
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【薬局】 増加を続ける調剤薬局の報酬についても適正化が必須とされ、対人業務を評価する報酬体系への一層のシフトが求められています。
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▼患者負担の見直し
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【薬剤の自己負担】 OTC類似薬(市販薬と類似の薬)を含む薬剤について、自己負担の見直しや、一定額の自己負担の追加を早急に結論付けるよう求めています。
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【応能負担の徹底】 高齢者の自己負担割合の見直しや金融所得の勘案など、負担能力に応じた制度改革を着実に進める方針です。
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