2026年度改定に向けた課題整理「個別事項その4 移植医療」
	2025/10/30
今回は、2025年10月29日開催の中医協総会において示された「個別事項その4・移植医療」についてまとめられた課題・評価の方向性を整理していきます。
改定の取り組みは、提供のハードルを下げる(増加)と同時に、最新の検査技術を導入・評価する(質の向上)ことで、医療全体のレベルアップを図るものと理解できます。
■ 移植医療
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	▼臓器提供の体制と評価の改善
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	【ドナーコーディネーター】 医療機関内の認定ドナーコーディネーターが、家族への同意取得などの行為を実施可能とする。臓器提供までの時間短縮(約1〜2日)、終末期医療の中でスムーズな臓器提供の機会確保。
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	【脳死判定基準】 脳死判定補助検査に「脳血流の消失」を追加。また、血圧基準に平均動脈圧(MAP)を追加。眼球損傷などで判定が困難な症例への対応や、補助循環装置使用下での臓器提供機会の拡大。
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	▼臓器移植待機患者への検査の拡大
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	【抗HLA抗体検査】 感作歴の有無にかかわらず、待機患者への抗HLA抗体検査の実施を検討。移植前の重要な情報(抗体陽性)を事前に把握し、術前の適切な対応(脱感作など)により臓器生着率の向上を目指す。
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	▼臍帯血移植の検査の高度化
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	【HLAタイピング】 臍帯血の型判定に、より詳細な情報が得られる次世代シーケンサー(NGS)法の導入・評価を進める。不適合な臍帯血の回避や、白血病再発に関わる型の同定により、臍帯血移植の治療成績向上に繋げる。
(考察)
日本の移植医療は、諸外国に比べて臓器提供数が依然として低い水準にあります。そのため、国は、「臓器提供の機会を増やし、より多くの患者を救うこと(増加)」と、その上で「移植後の生着率を高め、患者の予後を改善すること(質の向上)」を両輪として推進していく方針がうかがえます。
▼2026年度診療報酬改定のポイント整理

