2026年度改定に向けた課題整理「個別事項その2 精神医療①」
	2025/10/27
今回は、2025年10月24日開催の中医協総会において示された「個別事項その2・精神医療①」についてまとめられた課題・評価の方向性を整理していきます。
精神医療は、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を推進する観点から、入院医療の適正化と地域生活への移行推進・地域移行の推進と質の高い医療提供・精神疾患と身体疾患を併せ持つ患者への対応体制の強化が課題となっています。
■ 精神医療①
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	▼入院機能の明確化と地域移行の推進
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	【小規模病院の役割】 地域と密着し、多職種により外来、在宅医療、障害福祉サービスを一体的に提供し、必要に応じて入院サービスを提供する役割の評価。
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	【高齢の長期入院者への対応】 高齢者の介護ニーズへの対応については、介護保険制度に基づく在宅や施設サービスが受け皿となり得ること、また、障害福祉サービスや入院外医療によって地域や施設等の対応能力を高めることで地域移行を後押しすることが重要。 
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	▼多職種チーム医療の強化
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	【人員配置の充実】 身体的ケアや患者の高齢化・入院長期化に伴う身体機能低下防止のため、医師、看護職員に加え、精神保健福祉士(PSW)、作業療法士(OT)、公認心理師(CP)等を含めた多職種による手厚い医療提供体制を確保し、地域移行に向けた取組を推進 。リハビリテーション、栄養管理、口腔管理の取り組みを推進。
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	【タスクシェアの推進】 精神科医療機関ではPSWの人員確保が困難であることや、制度改正に伴う事務作業の増加が指摘されているため、病棟や入退院支援部門等におけるPSWのタスクシェアや、事務的な作業へのPSW以外の活用を推進。
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	▼精神身体合併症への対応強化
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	【内科医等の関与】 入院患者の高齢化に伴う慢性期の身体合併症(生活習慣病等)に対し、より一層内科医等が関わりながら対応できる体制の構築や、専門性の高い看護師の活用 。
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	【専門性の高い医療への対応】 透析、緩和ケア等、特に高い専門性が求められる分野については、医療計画において対応する医療機関の明確化を図るとともに、精神科医療機関と精神科以外の医療機関との連携体制の構築を推進。
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	【精神科リエゾンチームの活用】 精神病棟以外の入院患者への対応を通じて、身体科による精神科疾患を有する患者の受け入れが進み、精神科医療を特別視しない素地も期待されるため、より積極的な活用を推進。
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(考察)
「入院医療中心から地域生活中心へ」という従来の理念をさらに推進し、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築を目指す中で、入院医療の機能分化、多職種による質の高い医療の提供、および精神身体合併症への対応強化が改定のポイントになるでしょう。
▼2026年度診療報酬改定のポイント整理

