2026年度改定に向けた課題整理「外来医療その2、個別事項1(後発医薬品、バイオシミラー、ポリファーマシー)」
2025/10/22
今回は、2025年10月17日開催の中医協総会において示された「外来その2・個別事項1(後発医薬品、バイオシミラー、ポリファーマシー)」についてまとめられた課題・評価の方向性を整理していきます。
2026年度診療報酬改定における外来医療の最大の焦点は、かかりつけ医機能の評価であり、新たに施行されるかかりつけ医機能報告制度と報酬の整合性が注目ポイントになります。
もう1つの焦点は、役割を終えたと揶揄される後発医薬品の加算点数の動向です。加算の廃止・減算の強化が検討され、その落としどころに注目です。
■ 外来医療(その2)急性期・高度急性期
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▼かかりつけ医機能に係る評価
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【報酬と制度の整合性】 機能強化加算の届出医療機関は、質の高い機能を発揮しているなど、診療報酬の評価体系を、新たに施行されるかかりつけ医機能報告制度と整合させるべきか。
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【評価の普及と拡充】 算定要件の厳しさなどから届出数が横ばい・伸び悩み傾向にある機能強化加算や地域包括診療料などの評価のあり方を見直し、かかりつけ医機能を発揮する医療機関の普及を図る。
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【多職種・介護連携】 要支援・要介護高齢者の増加を踏まえ、医療と介護の連携や多職種連携を一層重視し、評価に反映させるか。
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【災害時対応】 診療所における災害に備えた事業継続計画(BCP)の策定割合が約30%にとどまっており、災害対策の取組(災害物資の備蓄、職員の安否確認方法の策定など)を推進する必要がある。
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▼生活習慣病に係る評価
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【適切な医学管理】 6か月間検査が実施されていない患者が一定数存在することから、適切な医学管理が継続して行われているかを検証して評価のあり方を検討。糖尿病患者に対する歯科受診推奨の取り組みをさらに強化。 患者が治療から脱落せず、継続的に受診を続けるための医療機関の体制を評価・検討。
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【データ提出の推進】 データを用いた診療実績の適切な評価を行う観点から、外来データ提出加算(生活習慣病管理料算定時等)のあり方を検討。
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▼外来機能の分化の推進
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【外来機能の分化】 紹介受診重点医療機関や紹介割合等による減算などの仕組みを通じて、外来医療における適切な役割分担をさらに推進する。
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■ 個別事項(その1)
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▼後発医薬品の安定供給・使用促進等
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【現行の加算制度の廃止と減算の強化】 長期収載品の選定療養などが奏功して使用割合が9割を超え、一定の成果が出たため、現行の加算制度の廃止と減算の強化が検討。
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▼バイオ後続品の使用促進に係る取組
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【目標に向けた推進】 第4期医療費適正化計画に向けた見直しで、バイオシミラーが80%以上を占める成分数が全体の60%以上(2029年度末まで)とする目標に沿って引き続き推進。
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▼ポリファーマシーに係る評価
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【質の評価】 減薬に対する評価のみならず、質の評価としてアウトカム指標の活用が検討。
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(考察)
かかりつけ医機能報告制度は、各医療機関の持つ機能を共有し、地域全体で医療提供体制を構築・改善していくための仕組みです。制度の主旨は「評価」ではなく、「見える化」と「地域協議の検討材料」であることを押さえておくことで、連携強化の一助として活用できます。制度と報酬の整合性が気になる所ですが、まずは、2026年1月からの報告の準備を進めていきましょう。
▼2026年度診療報酬改定のポイント整理