2026年度改定に向けた課題整理「入院医療その2」
■ 入院医療(その2)急性期・高度急性期
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▼入院基本料と医療機関の機能
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【実態に応じた急性期機能の評価】 2024年度改定で重症度基準は厳格化されたが、救急搬送件数や手術実施件数が非常に多い、真の救急・急性期拠点病院に対し、その実態に応じた診療報酬上の優遇措置をさらに強化・構造化する検討が継続される。
【新たな地域医療構想との連動】2040年に向けた「高齢者救急・地域急性期機能」「急性期拠点機能」などの医療機関機能報告の方向に基づき、これらの機能への参加・貢献度を診療報酬の施設基準や加算に本格的に連動させるための具体的な評価体系を構築する。 -
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▼総合入院体制加算と急性期充実体制加算
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【高機能加算の抜本的な見直し】 2024年度改定で見直されたこれらの加算(特に高度な急性期医療を包括的に提供する体制を評価)について、質の高い急性期医療提供体制を担保できているか、機能の重複がないかなどを検証し、2026年度に向けて加算の統合や、より高いレベルでの要件の再構築を行う。
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▼DPC制度
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【機能分化を踏まえたDPCの役割再定義】 DPC対象病院における急性期機能や平均在院日数の短縮が進行する中で、地域包括医療病棟などの「包括期機能」との連携を前提とした急性期病棟でのDPCのあり方を根本的に再検討する。DPCデータから得られる病院機能の客観的な評価を、新たな地域医療構想にどう活用していくかが主要な論点となる。
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▼特定集中治療室管理料(ICU)
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【ICUの機能要件の集約化(手術・救急実績の導入)】 ICUを持つ医療機関のうち、全身麻酔手術件数や救急搬送件数が少ない病院について、本当にICU機能が必要なのかという構造的な問いに対し、実績要件を伴う施設基準を設け、ICUの集約化を本格的に推進する検討が行われる。
【医師の働き方改革への完全移行】 2024年度改定で導入される医師配置の柔軟化(治療室内に常時勤務しない区分)について、患者の安全性が確保されているか、医師の負担軽減効果が出ているかを検証する。その検証結果に基づき、2026年度以降、働き方改革を前提とした恒久的なICU医師配置要件を確立する。
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▼ハイケアユニット入院医療管理料
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【ICUとの機能分化と役割の明確化】 ICUとHCUの機能が近接している現状を踏まえ、高度急性期医療提供体制全体におけるHCUの役割をより明確にする。特に、回復期への移行プロセスにおけるHCUの機能や、ICUのベッド不足時の代替機能としての評価を再検討する。
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▼脳卒中ケアユニット入院医療管理料
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【地域脳卒中医療体制との連動】 脳卒中患者の急性期から回復期、地域連携までの体制全体を見据え、SCU(脳卒中ケアユニット)の役割を再評価する。特に、地域の脳卒中連携パスの活用状況や、SCU設置医療機関の集約化の必要性について、地域の実情に応じた評価のあり方を検討する。
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