2026年度改定に向けた課題整理「包括的な機能を担う入院医療その3、重症度、医療・看護必要度、働き方・タスクシフト/シェアその3、病棟多職種ケアその2」
■ 包括的な機能を担う入院医療について(その3)
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【医療機関の役割評価の適正化】
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救急搬送の受け入れや、在宅・施設等への後方支援といった包括期の入院医療を担う医療機関の役割を、現在の評価指標でどのように適切に評価するかが問われている。特に、地域包括ケア病棟が多くの救急・緊急入院を受け入れている現状や、地域包括医療病棟が施設等と連携した入院を多く受け入れている現状をどう評価するかが論点である。
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【医療資源投入量の評価の課題】
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地域包括医療病棟において、包括内の出来高実績点数が診断によらず、手術や緊急入院の有無によって患者ごとに異なる傾向があることの評価が課題である。また、地域包括ケア病棟における医療資源投入量の評価も課題となっている。
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【高額薬剤使用と受け入れ困難要因】
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包括算定される入院料の病棟で、高額薬剤(例:トルバプタン、パーキンソン病治療薬、生物学的製剤を含む分子標的治療薬等)の使用が患者の受け入れを困難にする要因となっていることについて、どのように考えるべきかが課題である。
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■ 重症度、医療・看護必要度
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B項目(患者の状態等)の評価は、記録の負担軽減や急性期度合いを示す指標として議論されてきたが、急性期一般入院料1では測定・記録のみで基準に含まれていない。そのため、看護職員の記録忘れや研修の手間が課題とされている。また、B得点の変化が一定期間後に安定する傾向も指摘されており、その測定時期や頻度の見直しも論点である。
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【内科系症例の評価の適切性】
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内科系症例、特に救急搬送された内科系患者の重症度は、現行のA・C項目では外科系症例と比較して適切に評価されにくい傾向があることが課題である。救急搬送や緊急入院の約8割を内科系症例が占める現状を踏まえ、内科系症例を適切に評価する新たな指標や評価方法の検討が必要である。
■ 働き方・タスクシフト/シェア(その3)
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【看護職員の負担軽減と処遇改善】
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看護職員の負担軽減と処遇改善が喫緊の課題であり、特に夜勤を含む勤務シフトの組みにくさや夜勤者の増加傾向、夜勤手当の見直しが十分に進んでいない点が挙げられている。
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【臨時業務時の人員体制】
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小規模病院における夜間救急外来対応時に病棟の看護職員が一時的に病棟を離れることによる人員配置基準の問題や、100床を超える病院でも同様の人員確保の困難さがある現状をどう評価するかが課題である。
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【ICT機器活用とその継続的な課題】
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ICT機器の活用は進み、業務効率化・省力化に資する事例もみられる一方で、ICTの維持・管理コスト、職員の使いこなし、導入に伴う教育・人材育成の時間が継続的な課題となっている。
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【特定行為研修修了者の役割評価】
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特定行為研修を修了した看護師が医療現場で果たす役割について、その現状をどのように評価し、さらなる養成推進とキャリア構築を支援していくかが課題である。
■ 病棟における多職種でのケア(その2)
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【リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の効果とADL低下】
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リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の算定と実際の介入状況、および退院時にADL(日常生活動作)が低下する患者の割合が比較的高いこと、ADLが低下する患者の特徴について、現状をどのように評価するかが課題である。休日リハビリ提供要件の厳しさも指摘されている。
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【専門職の業務とタスクシェアの評価】
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リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算や病棟の施設基準において専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、臨床検査技師等)の病棟配置が進む中で、各専門職の業務内容やタスクシェアの現状をどのように評価していくかが重要な論点である。管理栄養士の病棟専従時間の確保や、栄養サポートチーム加算との併算定の制限なども課題として挙げられている。