2026年度改定に向けた課題整理「賃上げ・処遇改善、リハビリ、回復期リハビリ病棟、慢性期医療、食事療養、医療資源の少ない地域」
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①賃上げ・処遇改善
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【現状と課題】 賃上げは進むが職種・年齢層で差があり、届出の煩雑さが算定の妨げに。小規模施設では事務負担が大きい。
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【方向性】
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・診療報酬の届出プロセスを簡素化し、未届出機関への支援を検討する。
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・職種・年齢を問わず、処遇改善が均等に行われているか評価する。
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・オンライン化や自動計算ツールの提供などで事務負担軽減を進める。
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②リハビリテーション
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【現状と課題】 早期介入の遅れ、書類作成の煩雑さ、療法士の業務範囲の不明確さが質を阻害。土日リハ不足や退院時指導の実態とも不整合。
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【方向性】
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・療法士の配置・多職種連携を促進しつつ、専従要件の柔軟化を図る。
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・早期介入を促す体制強化(特に急性期・土日祝日対応)やインセンティブを検討。
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・退院時指導料の対象・要件を見直し、継続的で適切な指導確保を図る。
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・書類の様式統合、電子化、重複項目の整理で事務手間を大幅に軽減。
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・多職種連携を進め、施設外や就労支援(高次脳機能障害含む)の強化。
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③回復期リハビリ病棟
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【現状と課題】 単位数増加が必ずしもFIM利得に結び付かず、廃用症候群算定の低さや重症患者への対応が不十分。加算算定率も低い。
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【方向性】
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・重症度に応じたFIM利得評価指標の見直しを検討。
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・実施単位数だけでなく、多様な介入アプローチや個別化プログラムの評価促進。
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・排尿自立加算や嚥下回復加算など、生活機能回復加算の普及促進に向けたインセンティブ整備。
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④慢性期医療
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【現状と課題】 療養病棟では医療区分2・3や認知症患者が増加。在宅復帰や嚥下回復の取り組みは不十分。障害者施設では患者像が多様化し基準との乖離も。
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【方向性】
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・医療区分2・3や高齢・認知症患者への対応を踏まえた評価区分の精緻化。
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・嚥下機能回復や在宅退院の取り組みが進むよう、人材確保や算定要件の見直しを進める。
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・障害者施設等入院基本料について、患者像の多様化に対応した柔軟な基準整備。
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・夜間看護体制や身体拘束軽減に向けた改善策も具体的に検討。
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⑤食事療養
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【現状と課題】 食費基準額の引き上げが実態に追いつかず質の維持が困難。嚥下調整食は高コストだが評価不足。食堂や特別メニューの活用も限定的。
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【方向性】
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・食費の基準額を再検討し、質の確保とコスト上昇に見合う評価制度を導入。
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・嚥下調整食への加算措置(特別食加算化)の検討。
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・食堂加算の要件見直しによる活用促進、柔軟な特別メニュー提供体制の構築。
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・多様な患者ニーズに応じた提供のため、柔軟な基準整備を検討。
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⑥医療資源の少ない地域
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【現状と課題】 医師・看護師不足が最大課題。外来減少、交通脆弱、離島ではドクターヘリが生命線。オンライン診療は通信環境・人材・診療報酬が障壁。
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【方向性】
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・実効性のある人材確保策や交通支援の強化。
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・巡回診療や医師派遣の持続可能性を高めるため、派遣元へのインセンティブやキャリア支援を検討。
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・オンライン診療普及に向けた通信インフラ支援、高齢者向けサポート、人員研修、診療報酬の引き上げを検討。
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・地域医療支援病院による研修強化で、地域全体の医療提供力の底上げを図る。
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