2026年度改定に向けた課題整理「中間とりまとめ 2025年8月6日時点」
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①急性期入院医療
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一般的な急性期機能と拠点的な急性期機能の指標に関して、救急搬送件数、手術件数、総合性の観点からさらなる検討が必要。
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地域や医療機関の状況を踏まえ、地域での役割を評価するため、地域シェア率などの指標についてさらなる分析が求められる。
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②高度急性期入院医療
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救急搬送件数や年間全身麻酔手術実施件数が一定以上の病院とそれ以外の病院の治療室で、重症度等がどのように異なるか、さらなる分析を進めることが課題。
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専任医師が宿日直業務を行うか否かによる特定集中治療室管理料の医師配置要件の違いについて、さらなる分析を進める必要。
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③DPC/PDPS
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DPC算定病床割合の低いDPC対象病院が増加している現状を踏まえ、機能評価係数Ⅱの適切な評価方法、算定ルール、および点数設定方式などについて、継続して検討を行うことが課題。
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④包括的な機能を担う入院医療
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包括期の入院医療機関の役割として示されている救急搬送の受け入れと在宅・施設等への後方支援について、評価指標と適切な基準の検討が必要。
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ADLや平均在院日数に関しては、入院患者像を踏まえた上で、より適切な基準の検討を進めることが求められている。
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医療資源投入量のばらつきとその傾向を踏まえ、高齢者の入院を幅広く担えるような評価方法の検討が必要。
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⑤回復期リハビリテーション病棟入院料
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専門的なリハビリを一定期間集中的に行う回復期リハビリテーション病棟の趣旨を踏まえ、実績指数や重症患者割合に関する適切な基準、および疾患別リハビリテーション料の評価のあり方について、さらなる検討が必要。
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⑥療養病棟入院基本料
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医療区分の見直し後の各入院料における満たす割合について詳細な検討が必要。
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身体的拘束の実施状況について、患者像や治療内容を踏まえて分析し、本来必要のない身体的拘束がないか検討することが課題。
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経腸栄養への移行を評価する各種加算の届出状況や届出できない理由を踏まえ、適切な評価・分析について検討が必要。
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⑦重症度、医療・看護必要度
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特定集中治療室・ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度に関して、「動脈圧測定(動脈ライン)」「中心静脈圧測定(中心静脈ライン)」「シリンジポンプの管理」の実施状況、さらに「蘇生術の施行」「電気的除細動」「抗不整脈薬の投与」「一時的ペーシング」の実施状況について、さらなる分析を進めることが課題。
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内科症例が重症度、医療・看護必要度で評価されにくい現状に対し、指標が変わった場合のシミュレーションを行うことが求められている。
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重症度、医療・看護必要度B項目については、高齢者の入院を評価する指標としての有用性や、測定負担の軽減方法について、さらなる検討が必要。
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⑧救急医療
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救急患者連携搬送において、受け入れ側医療機関の評価や、患者等搬送事業者の活用を検討する上での課題について、さらなる分析が必要。
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救急外来応需体制に関する評価について、「院内トリアージ実施料」「夜間休日救急搬送医学管理料」「救急医療管理加算」などの実態を踏まえたさらなる分析が必要。
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⑨入退院支援
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入退院支援加算や入院時支援加算などについて、病院・病棟の機能ごとに入退院支援部門に期待される機能や、医療介護連携のさらなる推進の観点から、検討を進めることが課題。
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⑩働き方・タスクシフト/シェア
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地域医療体制確保加算届出医療機関における勤務環境改善の取り組み状況や、時間外・休日労働時間の減少をどのように評価するかが課題。
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医師事務作業補助者の定着に向けた取り組みや、ICTの活用による省力化などについて、さらなる検討が必要。
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看護職員の働き方、病棟の看護業務のタスクシフト/シェアの現状やICT、AI、IoTなどの活用に関して、さらなる検討が必要。
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⑪病棟における多職種でのケア
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リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算について、土日祝日のリハビリテーション提供量の評価のあり方について検討が必要。
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病棟におけるリハビリテーション、栄養管理、薬剤師業務について、さらなる実態分析と、適切な評価および支援策の検討が必要。特に、管理栄養士の病棟での業務時間確保や栄養サポートチームの役割、そして薬剤師の確保と効率的な配置が課題。
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⑫外来医療
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複数疾患や生活の場を含めた包括的な診療を必要とする患者のさらなる分析が必要。
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生活習慣病管理料を算定する患者の特性、特定機能病院などの再診患者の特性、および地域の診療所との連携状況について、さらなる分析が必要。
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特定機能病院などが再診患者の逆紹介を行う上での課題や、診療所が病院からの紹介患者を受け入れる上での課題、病院の専門医師と地域のかかりつけ医師が連携しながら共同で継続的に治療管理を行う取り組みの状況について、さらなる分析が必要。
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⑬情報通信機器を用いた診療
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オンライン診療と対面診療の診療内容の違いや、向精神薬処方の実態について、さらなる分析が必要。
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D to P with D(医師と医師間の遠隔連携診療)における医療的ケア児や訪問診療における特定の専門疾患に対する診療実態のさらなる分析が必要。
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D to P with N(医師と看護師等間の遠隔診療補助)について、診療報酬の算定要件を明確化するための検討が必要。
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へき地等におけるオンライン診療について、患者住所地と医療機関住所地の関係や医療機関間の連携について、さらなる分析が必要。
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⑭入院から外来への移行
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短期滞在手術の患者年齢などにも着目し、さらなる分析が必要。
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⑮個別事項 (複数事項)
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○意思決定支援
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意思決定支援の取り組みの現状をどのように評価し、その進捗や推進策をどのように評価するかが課題。
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○身体的拘束を最小化する取り組み
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身体的拘束を最小化する取り組みの現状をどのように評価し、その進捗やさらなる推進策をどのように評価するかが課題。
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○栄養管理体制
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低栄養の実態をさらに分析し、標準的な手法による低栄養の把握を推進するための要因を検討することが課題。
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○リハビリテーション
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退院後の生活に向けた介入や急性期における早期のリハビリ介入の評価のあり方について、さらなる検討が必要。
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○食事療養
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医療の一環としての食事の質を確保するため、様々なデータを分析して実態を把握すること、および嚥下調整食のようなニーズがあるにもかかわらず評価されていないものについて実態を把握することが課題。
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○病院薬剤師
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院内処方と院外処方で同一業務に対する報酬に大きな差があり、病院薬剤師が不足している現状があり、この問題への対応が課題。
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○ポリファーマシー対策・薬剤情報連携
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ポリファーマシー対策の推進に向けて、医療機関と薬局が連携した取り組みの状況などを踏まえ、必要な対策をさらに検討することが課題。
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○総合病院精神科
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精神病床を有する総合病院や精神科リエゾンチーム加算に係る評価指標について、勤務医師数や診療実態などに関する調査結果を踏まえ、さらに検討することが課題。
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○診療科偏在対策
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消化器外科医の減少などの診療科における医師の偏在に対し、働き方や教育体制、処遇などの様々な要因を踏まえ、現状とこれまでの取り組みをどのように評価するかが課題。
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○データ提出加算・退院患者調査
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医療機関の負担軽減に向け、様式の簡素化やデータのさらなる活用を検討するため、データ提出加算等でしか収集できない情報と他のデータベースで収集できる情報を整理することが課題。
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(考察)
これらの課題は複雑に絡み合っており、一朝一夕に解決できるものではありません。今回の「中間とりまとめ」で示された論点を踏まえ、今後の具体的な対策=点数評価においては、持続可能で質の高い医療提供体制の実現につながるかに着目して、見直しが具現化されるでしょう。