2027年に向けた「新たな地域医療構想と医師偏在対策の主要タスク(2025年・2026年)」
■ 国のタスク
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▼2025年度
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新たな地域医療構想のガイドライン策定や医師偏在対策の全体像のとりまとめなど、今後の方向性を定める重要な年となります。特に、病床機能だけでなく、入院・外来・在宅医療、介護連携を含む将来の医療提供体制全体を見据えたガイドラインが検討される点が注目されます。
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また、「第8次医師確保計画(後期)ガイドライン」や「医師偏在是正プラン全体のガイドライン」の策定も進められ、オンライン診療の法的な位置づけや美容医療への規制導入なども検討されます。医療DX推進のための「医療情報化推進方針」策定も大きなポイントです。
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▼2026年度
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都道府県が策定する構想や計画の進捗状況を国と都道府県で共有し、「広域連携型プログラム」の開始準備、そして医学部定員の適正化に関する検討が速やかに行われます。特に、医師偏在対策の「経済的インセンティブ」が本格的に実施される点が重要です。
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■ 都道府県のタスク
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▼2025年度
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国のガイドラインやとりまとめの動向を注視し、情報収集を行う準備期間となります。特に、医師偏在是正のための「緊急的な取組(診療所の承継・開業支援)」の先行実施や、2026年4月1日に先行施行される改正法令(医師少数区域等での勤務経験を求める管理者要件の拡大、外来医師過多区域での新規開業・経営対応など)への対応準備が求められます。
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▼2026年度
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都道府県が地域の医療提供体制全体の方向性や将来の病床数の必要量を具体的に検討・策定する重要な年です。入院医療に加えて外来・在宅医療、介護との連携を含む構想が策定されます。
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「第8次医師確保計画(後期)」や医師偏在是正プランも具体的に策定され、外来医師過多区域での無床診療所への対応強化、公的医療機関等の管理者要件への医師少数区域等での勤務経験追加といった、より踏み込んだ対策が講じられます。大学病院等との連携協定推進や、地域医療構想調整会議への市町村の明確な参画も進められます。
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■ 医療機関のタスク
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▼2025年度
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国や都道府県の動きを注視し、自院の将来的な役割や機能を見定めるための準備期間となります。特に、2040年を見据えた自院の機能(「高齢者救急・地域急性期機能」「在宅医療等連携機能」など)をどう担っていくかについて、準備を始める必要があります。将来的に導入される「医療機関機能報告制度」を見据えた準備もこの年に開始されます。オンライン診療の法整備や美容医療の定期報告義務への備えも必要です。
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▼2026年度
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改正法令の先行施行に直接的に対応することが求められます。オンライン診療の提供、美容医療の定期報告、そして外来医師過多区域での新規開業希望者に対する届け出義務や、地域で不足する医療提供の要請への対応などが具体的なタスクとなります。特に、要請に従わない場合の措置(勧告・公表、保険医療機関の指定期間短縮など)は重要なポイントです。
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また、保険医療機関の管理者要件に医師少数区域等での勤務経験が追加される点にも注意が必要です。都道府県の医師確保計画や医師偏在是正プランに協力し、必要に応じて経済的インセンティブの活用や「広域連携型プログラム」への参加を検討することも重要になります。地域医療構想調整会議への積極的な参加も、地域の医療提供体制に貢献する上で不可欠です。
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