規制改革推進に関する答申、デジタル活用・人材確保・利便性向上を重視(政府)
2025/06/03
政府は5月28日、少子高齢化や人手不足といった日本の課題解決を目指すための規制改革を推進する「規制改革推進に関する答申」を決定した。今回の答申内容は、骨太方針2025の策定に反映され、医療・ヘルスケア・介護分野の施策はデジタル技術の活用と人材確保、利用者利便性の向上が重視されている。
医療・ヘルスケア分野では、オンライン診療のさらなる普及と円滑化を主要な柱とし、オンライン診療専用車両やブースの活用制限緩和、指針の法制化などが提案された。また、医師不足への対応として、地域病院における医師の宿直兼務の検討も盛り込まれた。
在宅医療では、薬剤師の役割拡大やオンライン服薬指導の活用促進を通じて、薬物治療提供体制の強化を図ることを目指す。一般用医薬品については、スイッチOTC化の促進やインターネット販売の規制緩和で利用者利便性を高めつつ、濫用対策として情報提供強化や購入個数制限の明確化を進める。
医療等データの利活用も重要視され、PHRの活用促進や医療ビッグデータの活用推進、さらにはデータ連携基盤の構築やガイドライン策定を通じて、医療の質向上や研究開発への貢献が期待されている。
介護・障害福祉分野では、地域の実情に応じた介護サービス提供体制の見直しをはじめ、地域包括ケアシステムの強化や訪問介護の担い手確保、混合介護の推進が挙げられている。障害福祉分野では、申請・届出のデジタル化や添付書類の簡素化により、利用者や事業者の負担軽減を目指す。
この答申は、デジタル化と規制緩和を通じて、国民がより質の高い医療・介護サービスを受けられる環境を整備し、持続可能な社会保障制度を構築するため、骨太方針2025への反映とともに、「規制改革実施計画」の閣議決定を目指している。