患者さんが選んで来てくれることが「かかりつけ」

今回はゆうやけ調剤薬局の管理薬剤師の川村亮介さんに、かかりつけ薬剤師としてのお考えをお聞きしました。
 
この店舗は、小児の急性の疾患以外にも発達障害の子供達を診察している小児科の処方箋を多く応需していることが特徴です。薬局内は子供達の声でにぎわっています。スタッフ全員、家族に子供がいらっしゃるとのことで、お母さん目線で患者さんに接しているのが他の店舗と違うところですと川村さんはおっしゃっていました。待合室にはベッドや子供が遊べるスペースはもちろん授乳スペースもあり、子供達とお母さんを大事にしていることがわかります。
 
インタビュアー 富永敦子

かかりつけとは、プラスαの何かがある薬局

富永川村さんのイメージする「かかりつけ薬局」とはどんな薬局でしょうか?

川村さん薬剤師は患者さんのために服薬支援をしています。「かかりつけ薬局」とは、プラスαの何かががあり、この薬局だったら相談しやすいと信頼して患者さんから選んでもらえる薬局だと思います。

昨年の春に「かかりつけ薬剤師」制度が始まったので薬局としての対応を考えました。大勢の方に対してかかりつけ薬局の対応ができるわけではありません。患者さんのことを把握できていて、いつでもすぐに対応できるということが大事だと思いました。そこで、今までこの薬局を選んで処方箋を持ってきてくれている方や、いろいろと話しができている方には「かかりつけ薬局」として意識していただこうと思いました。

 

富永どのような患者さんをかかりつけ薬剤師指導料の算定対象としているのでしょうか?

川村さん仙台医療センター、宮城県こども病院や東北医科薬科大学等にかかっていて、この薬局を利用してくださっている慢性の疾患をお持ちの方に、まずお声掛けしました。このなかには、喘息発作を起こしやすい方や特定疾患の方もいます。また、住所が比較的近くて、併用薬がある方にもお声掛けしました。つまり、特別にかかりつけ薬局として対応が必要と思われる方に声掛けしています。お声掛けすると同意をいただくことができました。

今までもいろいろと相談にのっていた方にお声掛けしたので、実はかかりつけ薬剤師指導料の算定だからといって特別なことはしてはいません。患者さん自身が「かかりつけ薬局」だからと意識をもって薬局に来てくれるようになればよいと思っています。

声掛けしてみて感じたのは、多くの患者さんは「かかりつけ薬剤師」についてよくわかっていないことです。会社で作成した「かかりつけ薬局」のチラシを見せながら、「是非、あなたのかかりつけ薬局としてこの薬局を考えてみてください」と声掛けしています。なかには面倒だと断られることもありましたが、患者さんの様子を見ながら話しました。

富永かかりつけ対象患者さんへの対応で印象に残ったことがあれば教えてください。

川村さん重度のアレルギーをお持ちの患者さんで、薬の添加物に反応してしまうため、極力先発医薬品を服用するよう指示されている方がいらっしゃいます。服用できる医薬品が限定されているのです。ところが、処方箋には医師が後発医薬品に×をつけていないため、他の薬局へ処方箋を持っていくと、今まで服用したことのない後発品医薬品に変更されたりする可能性があります。

そのような不安があるとお聞きしていたので、「かかりつけ薬剤師」としての登録をお願いし、いつもこの薬局に処方箋を持ってくるようにお伝えしたところ、これで安心だと感謝してくださいました。

また、喘息の患者さんですが、加湿のためにネブライザーに使用するのは「注射用水」と「生理食塩水」のどちらがよいかと聞かれ、調べてみたところ「生理食塩水」の方が刺激がないからよいとわかり回答しました。このような薬以外の相談もあります。

 
ゆうやけ調剤薬局(宮城県多賀城市)
処方箋応需医療機関:小児科診療所
かかりつけ薬剤師算定同意数:7人
かかりつけ薬剤師算定件数:平均7件/月 (2017年3月現在)