薬局をファーストアクセスの場に

今回は石神井公園駅前に店を構えているブルークロス駅前薬局に訪問して、管理薬剤師である山中雅史さんに、薬局薬剤師としての取り組みについてお聞きしました。
こちらは4年ほど前に個人薬局を引き継ぎ、山中さんを管理薬剤師として新たにスタートしました。この春に処方元が閉院しましたが、調剤薬局として安定した経営を続けています。以前の患者さんもそのまま来局している上、近隣の住民も多く利用するようになり、現在は1か月で150医療機関の処方箋を応需するという面薬局になっています。
山中さんは、薬剤師になって11年目とのことですが、「一流になろう」という会社が掲げているスローガンを胸に、住民の方が相談に立ち寄ってくれる「ファーストアクセスの場」としての薬局づくりに邁進しています。
 
インタビュアー 富永敦子

積極的に地域活動を行っています

富永薬局全体で取り組んでいることは何かありますか?

山中さんかかりつけ薬剤師制度がはじまったから実施したわけではありませんが、いくつかの地域活動を行っています。ある土曜日には「健康イベント」を行いましたが、薬局チラシを見て足を運んでくださった方、友人を連れての来局など、たくさんの方に参加していただきました。

 
また、練馬区薬剤師会の事業に参加して「禁煙支援薬局」として登録しています。1歳未満の赤ちゃんのいるご家庭で、家族が禁煙を希望した場合に支援する取り組みを現在実施しています。具体的には、区役所がOTCニコチン製剤を2週間分補助する制度があります。もちろん、依存度や状況に応じて禁煙外来の医療機関を推薦する場合もあります。

それから、月に1回石神井庁舎で、地域包括支援センターの認知症の家族会が開催されています。私は「石神井地区の介護の家族会」のコメンテーターとして参加しています。

地域包括支援センターの方と私が医療や介護の相談を受けています。薬剤師のコメンテーターは珍しいようでちょっとした評判です。これらは薬局のスタッフが協力してくれるからこそできている活動です。

富永今後の薬局のめざすことを教えてください。

山中さん困ったときにふらっと相談に立ち寄れる「ファーストアクセス」の場をめざしています。薬局はそんなところだということをPRしたいと思います。そのためには、白衣を着てもっと外にでなければいけない。白衣をきて外掃除をすることでもいいのです。薬剤師が地域に溶け込んでいかなければいけないと思います。この地域のお祭りなどにも薬剤師として参加できたらと思います。

 
服薬指導では、薬を減らすためにはどうしたらよいかを意識して患者さんに提案しています。急性疾患は医療機関でしっかり診ていただきたいですが、慢性疾患は薬局で経過をみていけると思います。全国の薬剤師が同じ気持ちで目指すことができれば、大きな力になると思います。
 

編集後記

山中さんは、今後求められる薬剤師の役割をよく理解されていて、できるところから着実に実行しています。スタッフ3人の薬局で、測定会をしたり禁煙支援の呼びかけをしたり、健康サポートが実施していることに感銘しました。
 
どうして「予防」や「健康サポート」の発想になったかとお聞きすると、新人の時「医療人として」、「人として」など考え方について重点的に学び、自分で考える時間があったことと、世界各地の医療を見てくる研修制度があり、先輩後輩の報告を聞いて世界から見た日本の医療・世界基準を知ることもよい経験になったことを挙げてくださいました。
 
患者さんがふらっと立ち寄って相談されたことに応えるには、豊富な知識とコミュニケーション能力が求められます。多くの医療機関の処方を受け、患者さんの話を聞き、それをまた経験として、地域にフィードバックしていくことでよい循環となっていると思いました。ますますのご活躍を期待しています。
 
ブルークロス駅前薬局 (東京都練馬区)
処方箋応需医療機関:150施設
かかりつけ薬剤師算定同意数:約60人
かかりつけ薬剤師算定件数:平均80件/月 (2017年2月現在)