薬局をファーストアクセスの場に

今回は石神井公園駅前に店を構えているブルークロス駅前薬局に訪問して、管理薬剤師である山中雅史さんに、薬局薬剤師としての取り組みについてお聞きしました。
こちらは4年ほど前に個人薬局を引き継ぎ、山中さんを管理薬剤師として新たにスタートしました。この春に処方元が閉院しましたが、調剤薬局として安定した経営を続けています。以前の患者さんもそのまま来局している上、近隣の住民も多く利用するようになり、現在は1か月で150医療機関の処方箋を応需するという面薬局になっています。
山中さんは、薬剤師になって11年目とのことですが、「一流になろう」という会社が掲げているスローガンを胸に、住民の方が相談に立ち寄ってくれる「ファーストアクセスの場」としての薬局づくりに邁進しています。
 
インタビュアー 富永敦子

「あなたなら」と言っていただくことが自信に

富永山中さんのイメージする「かかりつけ薬局」とはどんな薬局でしょうか?

山中さん以前から患者さんの服薬の一元管理を行ってきているので、「かかりつけ薬局」のイメージといわれても特別な薬局という感じはありません。そもそもこの薬局は開局当初からかかりつけ薬局という意識を持って患者さんに接しています。

今回の制度では少し高い金額が設定されているので、若干の躊躇はあったのですが、「自分専属の薬剤師を選ぶことで安心して医療を受けられる方もいらっしゃいますが、いかがでしょうか。」と患者さんに説明していきました。結果「あなたならいいよ」と言っていただくこともあり、自信になりました。私以外の常勤薬剤師は年数が満たないので算定要件にはあいませんが、担当者として指名する患者さんもいます。

 

富永どのような患者さんにかかりつけ薬剤師制度についてお声掛けしましたか?

山中さん近所にお住まいの方や、複数の医療機関を受診している方に、まず声を掛けてみました。さらに以前からこの薬局を利用してくださっている方に、かかりつけ薬剤師制度についての意義を説明しました。

また、服薬指導時にコミュニケーションがとれる方、患者さんが自分のことを話してくださる方、こちらから日常生活上の提案などをしている方にも声掛けしました。患者さんの家族構成や状況が以前からよくわかっている方にも年齢に関係なく声を掛けてみました。

富永かかりつけ薬剤師指導料の算定に関して、なにか問題点などございますか?

山中さんまず、患者さんにとってかかりつけ薬剤師制度がわかりにくい点が問題だと思います。薬剤師会のパンフレットを使って口頭で説明しています。門前の薬局でもらう方が便利という患者さんの意識があるなかで、「すべての処方箋はこの薬局でお願いします」ということを納得してもらうわけですが、患者さんのニーズがどうなのかと思っています。

 
また、金額が高くなることに理解いただけない場合もありますが、その一方で、このくらいなら喜んで払いますと言ってくださる方もいて、患者さんが何を重視しているのかがわかりました。

富永かかりつけ薬剤師の対象患者さんで印象に残ったことはありますか?

山中さん以前から日常的に朝食をとらない患者さんがいらして、いつ服用したらよいか相談を受けていました。昼食後に飲んでもいいですよと指導していましたが、かかりつけ薬剤師となったことと、その患者さんの事情があり医療機関を変更されたことを知っていたので、処方元にその旨を伝えて服用時点を変更することができました。

また、認知機能が低下しているある患者さんは、二つの医療機関を別々の日に受診されていましたが、一緒に日付を入れて一包化し、薬の管理をするなどしています。おなかの調子が悪いと相談されて、いくつかの胃腸科の情報を教えてあげたこともあります。専門分野のある整形外科など医療機関のことを聞かれることも多いです。

食欲がない方からいい食品はないかと相談された高齢者の方には、栄養をとっていただくために高カロリーの食品を提案したこともあります。

 
ブルークロス駅前薬局 (東京都練馬区)
処方箋応需医療機関:150施設
かかりつけ薬剤師算定同意数:約60人
かかりつけ薬剤師算定件数:平均80件/月 (2017年2月現在)