2027年度厚生労働省予算概算要求、医療提供体制を支える施策の方向(厚労省)
2026/09/02
厚労省は8月31日、2027年度厚生労働省予算概算要求の主要事項を公表した。
地域医療構想の推進に欠かせない、在宅医療、医師偏在対策、医療従事者の働き方改革などを含め、地域の医療提供体制を支える施策への予算を要求した。診療報酬・介護報酬だけでなく、予算、税制、DX、人材政策を組み合わせて、医療・介護提供体制そのものを変えていく方向となった。
この他、医療・介護・障害福祉分野における賃上げ、経営の安定、人材確保を一体的に進める施策の予算を要求した。人材確保を単独の「処遇改善」ではなく、報酬・経営・生産性を含めた提供体制の維持という問題として捉えている。
【新たな地域医療構想の推進を予算面から支援】 新たな地域医療構想の推進に向け、医療機能の分化・連携や医療機関の再編等を支援する施策を盛り込んだ。構想策定の段階から、データ分析や地域での協議、再編・機能転換の支援へと、地域で実装するための予算が重点化されている。
【「攻めの予防医療」を予算政策として強化】 歯科・栄養・リハビリテーション、がん・循環器病対策、重症化予防、女性の健康づくりなど、予防を重視した施策を展開していくうえでの予算も盛り込まれた。これは医療費を単純に抑える発想というより、発症・重症化する前の段階から健康状態を改善する「需要側へのアプローチ」として位置付けられる。
【医療・介護DXを「導入」から「実装」へ】 全国医療情報プラットフォーム、電子処方箋、医療・介護情報の連携、医療機関等のサイバーセキュリティ対策など、医療・介護DXを進める施策を要求した。これまでの「DX基盤の整備」の導入段階から、データを実際の業務・サービス改善につなげる「DX基盤の活用」の実装段階へ移行してきた。
【介護は2040年を見据えた地域別の提供体制へ】 介護分野では、地域の人口構造やサービス需要、人材確保の状況などを踏まえた提供体制の確保を進める。全国一律のサービス維持ではなく、人口減少地域・大都市部など地域特性に応じて、サービス提供のあり方を変えていく方向が予算面にも反映された。
【介護人材確保と生産性向上を同時に推進】 介護人材の確保・定着に加え、介護現場の生産性向上やテクノロジー活用などを進める。人材不足を「採用を増やす」だけでは解決できないため、少ない人材でもサービスを維持できる事業所・地域の構造づくりへ政策の軸が広がっている。
【介護情報基盤の整備を進め、データに基づく介護へ】 介護情報基盤の整備や介護分野におけるデータ活用を進め、介護現場の業務効率化やサービスの質向上につなげる施策を要求した。医療DXと同様に、介護も「情報をデジタル化する段階」から「情報を政策・経営・現場で活用する段階」へ移りつつあることがポイントとなっている。
【働く人の「供給制約」を前提に政策を再設計】 労働分野では、賃上げ、リ・スキリング、労働移動、人手不足対策、仕事と育児・介護の両立支援などを幅広く要求した。医療・介護についても、需要が増える一方で担い手が減るという「労働供給制約」そのものを前提にした政策設計が強まっている。

