調剤医療費は8兆7,242億円、処方箋1枚当たり調剤医療費は9,839円(厚労省)
2026/09/01
厚労省は8月28日、2025年度の「調剤医療費(電算処理分)の動向」を公表した。
調剤医療費は8兆7,242億円、処方箋1枚当たり調剤医療費は9,839円となり、処方箋枚数が減少する一方、1枚当たりの調剤医療費は上昇した。今回の結果では、処方箋枚数が1.1%減少する一方、1枚当たり調剤医療費は5.0%増加した。今後の調剤報酬・薬剤費の抑制策として、処方箋の枚数だけでなく、1処方当たりの投薬日数、薬剤種類、薬剤構成、特に高額な注射薬等の動向に着目していくことが想定される。
【調剤医療費8兆7,242億円、処方箋枚数は1.1%減】 2025年度の調剤医療費は8兆7,242億円で、前年度比3.8%増となった。一方、処方箋枚数は8億8,669万枚で1.1%減少しており、「処方箋枚数は減るが、1枚当たりの医療費は増える」構造が続いている。
【処方箋1枚当たり調剤医療費は5.0%増の9,839円】 処方箋1枚当たり調剤医療費は9,839円となり、前年度比5.0%増加した。内訳は技術料2,676円(3.2%増)、薬剤料7,144円(5.7%増)で、1枚当たり医療費の上昇は薬剤料の伸びがより大きく影響している。
【内服薬は「投薬日数」の伸びが薬剤料を押し上げ】 内服薬の処方箋1枚当たり薬剤料は5,450円で4.0%増となった。伸び率を3要素に分解すると、薬剤種類数は0.3%増、1種類当たり投薬日数は3.2%増、1種類1日当たり薬剤料は0.4%増で、薬価そのものより投薬日数(長期処方)の増加が大きい。
【注射薬の1枚当たり薬剤料が23.8%増】 処方箋1枚当たりの注射薬は918円で、前年度比23.8%増と大きく伸びた。内服薬の3.9%増、外用薬の横ばいと比べても伸びが突出し、外来や在宅療養で患者自身が注射する「自己注射薬」の市場が拡大していることが伺える。
【薬剤料6兆3,343億円、技術料2兆3,730億円】 調剤医療費の内訳は、薬剤料6兆3,343億円、技術料2兆3,730億円、特定保険医療材料料1,700億円となった。薬剤料は調剤医療費の7割以上を占める。増加の要因は「在宅医療向け高額注射薬」や「がん・免疫疾患のバイオ医薬品」など、1種類の薬価が非常に高い新薬の登場が、処方数量(枚数)の伸び以上に薬剤料を押し上げた要因になった。
【高齢層で調剤医療費の構成割合が大きい】 75歳以上では調剤医療費が全体の約4割を占め、75~79歳13.0%、80~84歳10.5%、85~89歳7.2%、90~94歳3.6%となった。高齢化に伴う慢性疾患・長期投薬の動向が、調剤医療費全体を底上げしている。
【後発医薬品の数量シェア91.7%、薬剤料ベースは75.9%】 2025年度末の後発医薬品割合は、数量ベース(新指標)で91.7%となり、前年度から1.0ポイント上昇した。一方、薬剤料ベースでは75.9%と1.8ポイント低下しており、後発医薬品の薬価自体が安価であるため、数量ベースの使用拡大がそのまま薬剤料ベースのシェア上昇にはつながっていない。
後発医薬品の数量シェアは9割を超える水準まで上昇している一方、薬剤料ベースのシェアは低下した背景には、後発医薬品への置換率だけでなく、先発・後発を含む薬剤構成や後発薬へ置き換えることができない超高額薬が医療費の大部分を占めていることが要因に挙げられる。

