2026年度薬価制度改革骨子を了承、イノベーション評価と安定供給確保へ(厚労省)
2025/12/26
厚労省は12月26日、中医協総会を開催し、2026年度薬価制度改革の骨子を了承した。2026年度の制度改革は、「創薬イノベーションの評価」と「国民負担の軽減・制度の持続可能性」の両立を軸に整理された。
1. 革新的新薬の評価(ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロス解消への対応)
新薬の価値をより適切に評価し、日本への早期導入を促すための再編を実施。
【制度名称の変更】現行の「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」を、イノベーション評価をより明確化するため、名称を含め「革新的新薬創出評価加算(仮称)」等への見直し、および加算額の計算方法の合理化を行う。
【新収載AGの特例評価】先発品と同一の原薬、製法、製造販売業者等によるAGについて、安定供給等の要件を満たす場合に限り、特例として「先発品と同額」で算定することを認める(従来は先発品の0.4〜0.5倍)。これにより、先発品からAGへの円滑な切り替えを促進する。
【迅速な市場導入の評価】世界に先駆けて日本で承認申請された品目(先駆的医薬品等)への評価を継続し、収載時の加算を強化する。
【小児用・希少疾患用・抗菌薬の評価拡充】開発ニーズが極めて高い特定の領域について、加算率の引き上げや評価期間の延長を行う。
2. 既収載薬の算定ルール(再算定制度の適正化)
市場実態に応じた価格調整を行うルールの名称・運用の見直し。
【制度名称の変更:市場拡大再算定の見直し】現行の「市場拡大再算定」を、イノベーション阻害要因とならないよう、対象品目の選定基準を厳格化し、「市場実態適応再算定(仮称)」等として制度の予見性を高める。
【長期収載品の薬価引き下げ(Z2)の前倒し】後発品置換が進んだ長期収載品の薬価を引き下げるルールについて、適用開始時期を「後発品置換開始後10年」から「5年」に大幅に短縮する。
【選定療養制度との連携】2024年10月から開始された選定療養(患者負担)の運用実績を踏まえ、長期収載品の薬価をさらに適正化する。
3. 後発医薬品(ジェネリック)の供給体制と価格体系
安価な提供だけでなく、企業の「供給能力」を価格に反映させる仕組みへ転換。
【安定供給体制の評価(企業指標の導入)】供給実績や在庫保有状況等に基づき企業をランク付けし、それに応じた薬価設定や加算を行う。
【不採算品再算定の継続・拡充】物価高騰や原材料費の上昇を踏まえ、安定供給が困難な低薬価品について、薬価の下支え(引き上げ)を行う「不採算品再算定」を機動的に実施する。
【価格帯の集約と整理】銘柄ごとに乱立している後発品の薬価を、より効率的な数本の価格帯へ集約し、流通の簡素化を図る。
4. 流通改善と中間年改定
【市場実態価格の反映】毎年改定の原則に基づき、市場での実勢価格を速やかに薬価に反映させ、国民負担を抑制する。
【返品・調整等の流通慣行の是正】医薬品の安定供給を損なうような商慣行の是正を促し、適切な流通コストを確保する。

