国民医療費は過去最高を更新、薬局調剤と訪問看護の医療費伸長が顕著(厚労省)
2025/10/14
厚労省は10月10日、2023年度の国民医療費の概況を公表した。
国民医療費は過去最高を更新し、48兆915億円に上り、前年度に比べ3.0%(1兆3,948億円)の増加となった。少子高齢化の進展や医療の高度化を背景に、医療費の増加傾向は止まらない状況にある。
国民医療費の構造をみると、65歳以上にかかる医療費が全体の60.1%(28兆8,806億円)を占め、医療費の高齢者依存度が極めて高い状態が続いている。65歳以上の人口1人当たり国民医療費は79万7,200円であるのに対し、65歳未満は21万8,000円にとどまっている。
診療種類別にみると、医科診療医療費(71.8%)が最も大きな割合を占めている。対前年度増減率で特に注目すべきは、薬局調剤医療費と訪問看護医療費の伸長である。薬局調剤医療費は8兆4,563億円で5.8%の増加となり、訪問看護医療費は金額自体は少ないものの、5,727億円で23.6%という突出した増加率となった。
これらの増加は、病院の機能分化や在宅での療養を推進する国の政策、高齢者の増加に伴う在宅医療のニーズの高まりを反映したものと推察される。