2025年診療所の緊急経営調査、経営悪化の主な要因は減収とコスト増(日医総研)
2025/09/22
日医総研は9月17日、ワーキングペーパーNo.494として「2025年 診療所の緊急経営調査」を公表した。
今回の調査は、日本医師会会員の診療所院長を対象に実施され、2023・2024年度の診療所の経営実態と抱える課題を把握した。
物価・賃金上昇、コロナ補助金・診療報酬上の特例措置の廃止、受療行動の変化等の中、2024年度の経営収支は、医療法人(n=6,761)、個人立(n=4,180)ともに前年度から大幅に悪化した。
2023年度から2024年度にかけて、診療所の利益率は大きく低下し、医療法人の医業利益率は、1年間でほぼ半減し、経常利益率も同様に大きく悪化した。2024年度には、医療法人立の診療所の約4割が赤字に転落した。さらに、調査対象の14%が「近い将来、廃業を検討している」と回答し、地域医療の崩壊が懸念されている。
経営悪化の主な要因は、新型コロナ関連の補助金や診療報酬上の特例措置が終了したことによる減収と、物価高騰や人件費上昇、光熱費の高騰などによるコスト増であり、コスト増では、特に給与費や医薬品・材料費の増加が顕著となっていた。診療科や地域に関わらず経営が悪化しており、この状況が続けば、多くの診療所が地域から撤退する可能性がある。
地域に根差す診療所が、患者さんへの医療を安定的に提供し続けるため、診療報酬や補助金等による早急かつ強力な手当が必要だと指摘した。