医学部臨時定員の方針と配分、医師の確保・偏在対策の方向性を確認(厚労省)
2025/08/07
厚労省は8月6日、医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会を開催し、2027年度の医学部臨時定員の方針と配分、医師の確保・偏在対策における医師養成課程等の方向性を確認した。
2027年度の医学部臨時定員は、医師の地域・診療科偏在を是正しつつ、将来的な医師の需給バランスを見据え、これまでの増員を段階的に適正化する。全体として、医師確保に大きな影響が生じない範囲で、医学部入学定員の適正化(漸減)が図られる。医師多数県では臨時定員の削減、医師少数・中程度県は2024年度比で増員の意向を原則認める。臨時定員で増員されてきた地域枠を恒久定員内に組み込み、医師の地域定着をより確実にする。これらの調整は、各都道府県の医師偏在状況や地域医療の現状を総合的に判断して行われる。
医学部定員の方針に加え、医師の確保・偏在対策は、医師養成過程全体を通じて多角的に進めていく。地域枠の設定・維持に加え、地域枠出身医師の地域定着を促すための支援策(奨学金、キャリア形成支援、地域医療教育の充実など)を強化し、恒久定員内への地域枠設置も促進される。医師少数県での研修を促進するため、広域連携型プログラムの制度化などを検討し、臨床研修制度の見直しを図る。
この他、医師不足地域への大学病院からの医師派遣の促進、総合的な診療能力を有する医師の育成、リカレント教育の実施、医師不足地域での勤務や特定診療科(へき地医療、救急医療など)に従事する医師への経済的支援や優遇措置、医師少数区域等での勤務経験を求める管理者要件の拡大など、医師の偏在是正に向けた規制的な手法の導入も予定されている。
これらの対策は、医師確保計画を深化させつつ、医師の地域間、診療科間、病院・診療所間の偏在是正を目指す。新たな地域医療構想の策定を見据え、医師の需給状況を踏まえつつ、医学部定員や医師確保・偏在対策に関する検討が継続される。