マイナ保険証「医療費助成」対応へ、システム改修補助金申請が6月6日スタート
■ 押さえておきたい3つのポイント
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【ポイント1】一体化の対象と利用者のメリット
今回の動きは、マイナ保険証を「公費負担医療」や「地方単独の医療費助成」の受給者証としても使えるようにするものです。
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▼対象となる医療費助成(具体例)
- 【公費負担医療(国)】 難病医療、小児慢性特定疾病、自立支援医療(精神通院)など
- 【地方単独医療費助成(自治体)】 子ども医療費、ひとり親家庭等医療費、重度心身障害者医療費など
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▼利用者の具体的なメリット
- 【カード1枚で完結】 これまでマイナ保険証とは別に必要だった各々の受給者証を持ち歩く必要がなくなります。
- 【提示漏れの防止】 受給者証を忘れて一時的に窓口で立て替え払いをする、といった事態を防ぐことができます。
- 【手続きの簡素化】 引越しをしても、新しい自治体で手続きをすれば、マイナンバーカードに新しい助成資格が紐づけられ、受給者証の交付を待たずに利用できるといった利便性向上が期待されます。
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【ポイント2】補助金による体制整備の目的
なぜ今、補助金の申請が始まったのでしょうか。それは、医療機関・薬局側の準備を加速させるためです。
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【システム改修が必須】 医療費助成の情報をオンラインで確認するには、医療機関・薬局のレセプトコンピュータや電子カルテシステムの改修が必要です。これには相応のコストがかかり負担を強いるため、軽減策として補助金が準備されました。
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【全国での円滑な導入】 今回の補助金は、国がシステム改修費用を支援することで、全国の医療機関・薬局での導入を後押しし、患者がどの地域でもスムーズに医療費助成を利用できる体制を早期に整えることを目的としています。
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【ポイント3】「全国医療情報プラットフォーム」の構築
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政府が目指す「全国医療情報プラットフォーム」は、日本の医療DXがさらに推進されるとともに、患者と医療従事者双方の利便性が向上する未来が描かれています。
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【情報共有の効率化】 PMH構築により、医療機関や自治体間で患者の保健、医療、介護情報を迅速に参照・交換でき、診療情報や電子カルテ、予防接種記録などの一元管理が可能となります。
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【医療の質向上】 他医療機関での情報共有により、適切な診療や迅速な治療が可能になり、救急時や災害時により多くの情報に基づいた最適な治療が受けられます。
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【医療従事者の負担軽減】 デジタル化により事務作業や診療情報交換の手間を削減し、効率的な業務運営が実現されます。
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【二次利用による研究推進】 公衆衛生や医学の振興を目的とした医療情報の二次利用が促進され、医薬品開発や適切な診断技術の向上が期待されます。
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【医療の効率化と医療費の適正化】 重複した検査や投薬を避けることができます。
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※用語のおさらい
- PMH ※2つの使われ方があります
- Public Medical Hub: 今回の医療費助成に係るデジタル化として「自治体・医療機関等をつなぐ情報連携システム」が関わっています。
- Personal Medical History: 医師が診断・治療のために記録・管理する患者情報(いわゆる既往歴)です。診療録、処方歴、検査結果などがこれにあたります。
- PHR (Personal Health Record): 本人が主体となって生涯にわたり管理・記録する健康情報です。日々の血圧や歩数といったバイタルデータから、マイナポータルを通じて閲覧できる自身のPMH(薬剤情報や健診情報)までを含みます。