マイナンバーカードをiPhoneで利用できることから変わる、次のステージへの序章
https://www.digital.go.jp/policies/mynumber/smartphone-certification
スマートフォンのマイナンバーカード連携により、医療機関受診の際に、患者の利便性向上が期待されます。この利便性の先にあるのが、PHRサービスの普及ではないかと予想していますが、皆様はいかがお考えでしょうか?
■ スマホ保険証受診がもたらす変化と電子処方箋の普及
2025年6月24日からiPhoneでもマイナンバーカード連携が可能になり(Androidは既に利用可能)、同年夏頃からは一部医療機関でスマホ保険証受診が始まります。これにより、マイナンバーカードがなくてもスマートフォン一つで行政手続きや本人確認ができるようになり、医療DXが強力に推進されると期待されています。
スマホ保険証受診が普及すると、診察から薬の受け取りまでをスマートフォン一つで完結できるため、患者さんの電子処方箋へのニーズが飛躍的に高まります。スマホ保険証の導入は国民全体のデジタルヘルスリテラシーを高め、政府の医療DX推進と相まって電子処方箋の普及を加速させるでしょう。
もちろん、スマートフォンの操作に不慣れな方へのサポートや、医療機関側のシステム導入・安定稼働などの課題はありますが、スマホ保険証受診は患者さんが「手間なく、便利に、安全に」医療を受けられる未来を実現し、医療全体のデジタル化を大きく推進する可能性を秘めています。
■ 医療機関が準備すべきことと相談先
スマホ保険証受診の普及に備え、医療機関は患者さんの利便性向上をメリットと捉え、導入しないことによるデメリットも考慮し、準備を進める必要があります。これは基本的に、既存のオンライン資格確認の仕組みを改修することで対応可能です。
具体的には、NFC対応の顔認証付きカードリーダーの改修または追加導入、レセプトコンピューター(レセコン)や電子カルテシステムの改修が求められます。さらに、患者さんへの適切な案内やトラブル対応を含む受付業務フローの見直しと、それに対応するためのスタッフ教育も欠かせません。
これらの準備を進める上で最も重要な相談窓口は、現在利用しているレセコン・電子カルテのベンダー担当者です。システム改修の詳細や具体的な対応計画を確認しましょう。また、地域の医師会や連携する他の医療機関との情報交換も非常に有効です。もしベンダーの対応が遅い場合は、状況確認と催促を徹底し、それでも改善が見られない場合は、費用や労力を慎重に検討した上で、他社製品への乗り換えも選択肢となります。
■ 薬局の役割の変化と「健康ステーション」化の予感
スマホ保険証受診と電子処方箋の普及・定着は、今後の薬局の役割を大きく変革させ、PHR(個人健康記録)サービスアプリの多様化を促し、患者中心の医療への移行を加速させるでしょう。
具体的には、保険証や処方箋情報を一元管理する統合型ヘルスケアアプリ、慢性疾患に特化したセルフケア支援アプリ、オンライン医療相談や診療予約アプリ、予防・健康増進アプリ、地域連携アプリなど、多種多様なPHRアプリが登場し、患者さんの健康管理を多角的に支援するようになります。
このような変化の中で、薬局は従来の「薬を渡す場所」という役割を超え、PHRアプリの利用支援や独自のサービス提供、地域医療連携のハブとなることで、「健康ステーション」としての存在感を高め、患者さんの生活に深く根ざすことが期待されます。そのためには、アプリ導入のサポート、個別化された服薬指導や健康アドバイス、他医療機関との連携強化、そして何よりも患者さんからの信頼を得るためのセキュリティ対策(ベンダー選定)が不可欠となるでしょう。