医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策の有識者検討会の報告書(厚労省)
2023/06/13
厚労省は6月9日付けで、医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会の報告書を公表した。
検討会では、革新的医薬品の日本への早期上市や医薬品の安定的な供給を図る観点から、流通、薬価制度、産業構造など幅広い議論を行い、その審議内容を整理した報告書では、「安定供給の確保」「創薬力の強化」「ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消」「適切な医薬品流通に向けた取組」の課題を列挙した。
「安定供給の確保」では、少量多品目生産といった後発品産業の構造的課題の解消等に向けて、薬価の在り方を検討するとともに、品目数の適正化に併せた製造ラインの増設等への支援など、ロードマップを策定して集中的な取組を実施するよう提言した。
「創薬力の強化」においては、新規モダリティの創出支援や創薬エコシステムの構築、革新的創薬に向けた研究開発への経営資源の集中化といった対策を講じて、研究開発型のビジネスモデルへの転換促進の必要性を求めた。
「ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消」に向けては、革新的医薬品の迅速導入に向けた環境の整備や現に発生しているドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスへの対応強化、日本市場の魅力を向上させる薬価制度に変えていくよう提言した。
「適切な医薬品流通に向けた取組」においては、まずは流通関係者全員が医薬品特有の取引慣行や過度な薬価差等の是正を図りつつ、適切な流通取引が行われる環境を整備するため、医療上の必要性の高い医薬品について、従来の取引とは別枠とするなど、総価取引改善に向けた流通改善ガイドラインの改訂を示唆した。また、海外のクローバックや公定マージンの仕組みも踏まえ、流通の改善など、過度な薬価差の偏在の是正策を引き続き検討するよう求めた。
今後は、今回公表した報告書をベースに、流通に関わる課題は流通改善に関する懇談会、薬価制度に関わる課題は中医協、産業構造(後発品産業)に関しては新たな会議体を新設して議論の場を移し、具体的な見直し策を検討していく。