社会保障制度改革に関する提言を公表、公正・持続・効率の三原則を示す(令和臨調)
2023/04/27
令和国民会議(令和臨調)は4月25日、社会保障制度改革に関する提言「だれもが自己実現を目指せる日本をつくるために社会保障制度の再設計を」を取りまとめて公表した。
令和臨調は、経済界・労働界・学識者等の有志で組織する会議として、2022年6月の発足以来、「統治構造」「財政・社会保障」「国土構想」の3つのテーマについて議論を進めている。
令和臨調では、「だれもがより良い将来を信じられる日本、安心して望んだ生き方を選択できる日本」を実現して将来世代に引き継ぐことを目標に掲げ、社会保障制度は「一人ひとりの自己実現と社会・経済の発展の好循環」を支える制度であるべきだとしている。
今回の提言は、社会保障制度改革に焦点を当て、「だれもが自己実現に挑戦できる公正で持続可能な社会保障制度」の構築において公正・持続・効率の三原則が必要だとした。
① 一人ひとりの状況に応じた給付や負担の公正さを確保すること
・働き方に中立的で多様な就業形態や生き方を支えられるセーフティネットの構築
・医療・介護や子育てなどの社会保障負担における世代内・世代間の公平性
・国民のニーズや状況を把握するためのマイナンバー制度の適切な活用
② 持続可能性を確信できる社会保障制度を構築すること
・中長期的な社会・経済の変化を考慮した世代横断的な全体最適の実現
・持続的な将来世代の育成につながる、公正な労働市場と子育て支援環境の構築
・将来世代につけを回さない制度設計
③ 制度の信頼につながる情報開示とサービスの効率性や強靭性を改善すること
・社会保障制度の各分野における情報基盤の整備と情報の開示
・データに基づく政策立案/評価とサービスの効率性の向上
・平時から信頼でき、緊急時に機能する医療・介護提供体制の構築
とりわけ医療・介護分野では、コロナ禍の3年間、世界に冠たると言われてきた日本の医療体制が、実際には大きな脆弱性を抱えていることも明らかになり、この教訓を生かして医療・介護分野におけるサービスを検証し、質の向上を効果的・効率的に図らなければならないとした。
優先すべき3つの課題として「かかりつけ医機能を備えた医療者認定制度」「救命救急・高度急性期機能の強化」「医療・介護サービスの情報基盤の構築」が挙げられた。社会保障の機能が、現在や将来の経済・社会の規模に対し、全体として最適な規模で確実に持続できるように、制度を再設計することを求めている。