医療機関向け医業承継実態調査の結果を公表、約4割の選択肢は閉院(日本医師会)
2020/02/10
日本医師会はこのほど、日医総研ワーキングペーパーNo.440として「医療機関経営者向け医業承継実態調査」の結果を公表した。実態調査は、日本の医業承継に関する現状把握を目的とし、全国の民間医療機関およそ4,000施設(病院、診療所)の現経営者を対象にアンケート調査を実施し、回収数は 1,088 件(回答率 27.3%)であった。
調査結果では、現経営者である回答者の年齢階層が若いほど、第三者から承継したとの割合が高く、第三者承継や M&A を承継プランの選択肢としている割合が高かった。また、回答者のうち第三者承継した割合は5.7%だったのに対し、第三者承継を承継プランの選択肢としている割合は38.2%であり、事業売却・M&A を選択肢としている割合は22.2%だった。所在地やその人口規模に関わらず、対象とした医療機関の約4割が「閉院」を選択肢のひとつとして考えていた。特に、無床診療所の約5割、有床診療所の約4割が閉院を選択肢のひとつとしていた。
現状、診療所の数は漸増傾向にあるが、将来的に承継問題が顕在化すれば、日本各地でプライマリ・ケアの維持・継続が困難になる事態も十分想定される。閉院を考える診療所の内実については、その原因究明も含めて、さらなる調査研究が必要である。あわせて、診療所の第三者承継・M&A がし易い環境を整備し、今ある診療所が地域に残る可能性を高める手段を講じる必要があるとしている。