2020年度改定の基本方針を了承、被保険者番号活用の仕組みなどを確認(厚労省)
2019/11/28
厚労省は11月28日、社会保障審議会医療保険部会を開催し、2020年度診療報酬改定の基本方針案を了承した。
改定のメインテーマとなる基本認識は、「健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた『全世代型社会保障』の実現」「患者・国民に身近な医療の実現」「どこに住んでいても適切な医療を安心して受けられる社会の実現、医師等の働き方改革の推進」「社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和」-の4つが示された。前回の基本認識と同様に、人生100年時代を見据えている点は同じだが、将来の医療提供体制の展望を見据えつつ、医師等の働き方改革を推進して『全世代型社会保障』の実現を目指していく点が強調されている。
基本的視点としては、「視点1 医療従事者の負担を軽減し、医師等の働き方改革を推進」を重点課題に位置づけ、その他に「視点2 患者・国民にとって身近であるとともに、安心・安全で質の高い医療を実現」「視点3 医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進」「視点4 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」とする案を示唆した。地域包括ケアシステムは前回の視点1から視点3となり、重点課題に設定した働き方改革を全面的に推進していく方向性になる点が注目ポイントである。
視点1における具体的方向性の例として、「医師等の負担軽減等につながる取組の評価」や「業務の効率化に資するICTの利活用の推進」などが列挙され、時間外労働の上限規制の適用が開始される2024年4月を見据えて、今後、医療の安全や地域医療の確保、患者や保険者の視点にも留意しながら、総合的な医療提供体制改革の状況等も踏まえた診療報酬による適切な評価を行う必要があるとした。
改定の基本方針において「医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」が重点課題に位置づけられた背景には、各医療機関では自らの状況を適切に分析し、労働時間短縮に計画的に取り組むために「医師労働時間短縮計画」の作成が2021年度中に求められている。
将来を見据えた課題としては、「全世代型社会保障」を実現するため、診療報酬のみならず、医療法、医療保険各法等の制度的枠組みや補助金等の予算措置など、総合的な政策の構築が不可欠であるとした。
この他、医療等情報の連結推進に向けた被保険者番号活用の仕組みについて議論した。