薬価調査は、薬価基準の改正の基礎資料を得ることを目的として、薬価基準に収載されている全医薬品について、保険医療機関及び保険薬局に対する医薬品販売業者の販売価格及び一定率で抽出された医療機関等での購入価格を調査するものです。薬価基準の改定に合わせて、2年に一度、改定の前年秋(10月頃)実施されています。
現行の薬価基準制度では、加重平均値一定価格幅(R幅)方式による段階的な縮小を実施しています。薬価調査結果に基づき、薬価基準で定められた価格を実際の購入価格(市場実勢価格)に近付けるため、R幅の調整幅を2%と設定しています。なお、現行制度についての見直し・検討も行われています。
薬価制度の現状としては、医薬分業が浸透し、納入価格と薬価の差額(薬価差)自体は大きな問題に取り上げることはなくなりましたが、「未妥結(後値引き)」のまま商取引が行われ、薬価調査時に実取引価格が把握できないという点が問題となっています。
こうした問題点を解消ずるために、「妥結率の報告(毎年10月提出)」を平成26年度から導入しました。厚労省では妥結=実取引価格で薬価調査を実施し、適正な薬価改定を行い、医療費適正化を図っています。
早期妥結の結果、事実上、安価な取引が薬価調査に反映されれば、さらに薬価が下がり、薬剤料の請求金額が減少(医薬品購入費も減少)します。
蛇足になりますが、こうした妥結率の報告が医療費適正化の成果となれば、毎年(1年ごと)薬価改定が行われる可能性は否めません。
このように薬価調査は、医療費適正化の観点から望ましい施策ですが、医薬品業界的には市場が縮小するため、懸念される見方をすることもあります。