従業員満足度調査によるマネジメント職層にある薬剤師の意識に関する研究

第12回 日本薬局学会学術総会 発表(2018.11.3~11.4)
 
1)東京大学大学院薬学系研究科 医薬政策学寄附講座、2)(株)医療経営研究所  
○岡﨑光洋1)、佐藤健太2)、森山幸彦2) 

 

  • 【緒論】Servive-ProfitChain(SPC)は利益の源泉となる要因を明らかにし、長期的な収益を実現するための活動を具体化するためのフレームワークである。SPC によれば、サービス提供組織の能力( 社内サービスや提供システムの質) が、従業員満足度を高め、高まった従業員満足度が顧客に対する社外サービスの価値を高める。そ
    れは顧客に高い満足度を与え、顧客ロイヤリテイへとつながり、組織の売り上げ、利益率へとつながっていくことが示されている。これまでに我々は15 年にわたり、
    薬局を運営する組織の従業員満足度調査(ES 調査)について調査研究してきた。これまでのES 調査より、マネジメント職層にある薬剤師の意識に関連する項目につ
    いて調査検討を行った。

  • 【方法】医療経営研究所が実施した約20 社分の薬局向け従業員満足度調査(HMI-ES)の結果を統合したデータ(n=567)を用い、マネジメント職層の意識について分析した。
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  • 改善緊急度
    総合満足度(「現在の職場環境に対する総合的な評価をお聞かせください」に対する回答)との相関係数と、満足度から算出。総合満足度に与える影響が大きく、満足が低い項目が高いスコアとなる。ES調査においては組織の総合満足度を高めることを重要視するため、改善緊急度が高い項目の改善を優先する。

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  • 改善重要度
    重視度ポイント×(6-満足度ポイント)によって算出したもの。式中の(6-満足度ポイント)は不満足度を意味し、今回の分析においてニーズ得点の範囲は1~25 点となる。重視度が高くなるほど、また満足度が低くなるほど、ニーズ得点は高くなる。
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  • PPS
    「現在の職場を知人に薦めたいと思いますか」という設問に対して、最高評価である5ポイントをつけた回答者を推薦者、1ポイントないしは2ポイントをつけた回答者を非推薦者と2分類する。推薦者の割合から非推薦者の割合を差し引いた値を「推薦者の正味比率」とし、推奨者と非推奨者の数から、PPS(Pharmacy-staff Promoter Score)を算出。「推薦者が多いほど」、また「非推薦者が少ないほど」、PPSは高くなる。

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  • 【結果】「組織全体」「上司」「職場環境」に関する項目で構成された33の設問に対する満足度と重視度、総合満足度、推奨意向(全て5段階評価)に関して分析を行った。満足度・重視度共に平均値以上で、この集団の求心力となっているのは「勤務地」「人間関係」「業務設備」であることが明らかになった。不満足に感じているものは「休日」「就労時間」「業務効率」「従業員数」が挙げられている。総合満足度との相関係数が高く、かつ満足度が低い項目は「会社の組織風土」「会社の業務内容」「経営方針」であった。推奨意向の値から算出した帰属意識のスコアは、所属企業が展開する店舗数が10店舗未満では高く、それ以上の場合は規模に応じて低くなる傾向が見られた。
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  • 【考察】今回の調査により、マネジメント職層のES向上のためには「会社の組織風土」が重要であることが明らかになった。また帰属意識に関しては、会社の規模による影響があることがうかがえる。円滑な組織運営のためには、経営層とマネジメント層の意思疎通がポイントになると考えられる。
 
 
HMI-ES