従業員満足度調査による薬剤師の職場に対する帰属意識に関する研究

第51回 日本薬剤師会学術大会 発表(2018.9.23~9.24)
 
1)東京大学大学院薬学系研究科 医薬政策学寄附講座、2)(株)医療経営研究所  
○岡﨑光洋1)、佐藤健太2)、森山幸彦2) 

 

  • 【緒論】Servive-ProfitChain(SPC)は利益の源泉となる要因を明らかにし、長期的な収益を実現するための活動を具体化するためのフレームワークである。SPC によれば、サービス提供組織の能力( 社内サービスや提供システムの質) が、従業員満足度を高め、高まった従業員満足度が顧客に対する社外サービスの価値を高める。それは顧客に高い満足度を与え、顧客ロイヤリテイへとつながり、組織の売り上げ、利益率へとつながっていくことが示されている。これまでに我々は15 年にわたり、薬局を運営する組織の従業員満足度調査(ES 調査)について調査研究してきた。これまでのES 調査より、薬剤師の帰属意識(ロイヤルティ)に関連する項目について調査検討を行った。

  • 【方法】医療経営研究所が実施した約20 社分の薬局向け従業員満足度調査(HMI-ES)の結果を統合したデータ(n=2054)を用い、薬剤師の所属企業に関する推奨意向(おすすめ度)を評価する、Pharmacy-staff Promoter Score(PPS)指標を用い、薬剤師のロイヤルティと関連する評価項目について分析した。
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  • 【結果】本調査の結果におけるPPS の平均値は-23.9 であり、帰属意識が低下している薬剤師が増えつつある状況が明らかになった。また「組織全体」「上司」「職場環境」に関する項目で構成された33 の設問に対する満足度(5 段階評価)と推奨意向に関して分析を行った。

  • 相関係数が高い項目は「会社の組織風土」と「経営者、経営陣の方針と能力」であり、推奨意向に関連があることがうかがえる。また、これらの項目は満足度も低いため、組織風土の改善や経営方針の理解に関する対策が重要であることが明らかになった

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  • 【考察】今回の調査により、薬剤師の帰属意識は「会社の組織風土」と「経営者、経営陣の方針と能力」にひもづく傾向が明らかになった。
  • また組織の規模が小さい集団(薬剤師数50 名未満)においては帰属意識が高いことが明らかになった。
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  • この集団においては「経営者、経営陣の方針と能力」「経営者との人間関係」「理念やビジョン」などの項目で、推奨意向との相関係数が極めて高い。