新公立病院改革ガイドラインが病院経営に及ぼす影響について教えてください。
2015-05-12 00:00:00
病院経営に対する影響としては、「地方交付税による財政支援の仕組みの変更」が大きいと考えられます。これまで、各病院への地方交付税措置の額は「許可病床数」に応じて計算されていましたが(1床につき約70万円)、この算定基礎を「稼働病床数」に変更しました。
仮に100床の病床を持つ病院の病床稼働率が7割だった場合、地方交付税が7,000万円から4,900まで減額されることになります。この措置額の減少を緩和する方策として、平成28年度からは、許可病床数の削減数に応じて5年間に限り交付税が加算されるため、公立病院には病床稼働率を引き上げ、残る休眠病床を返上し交付税の加算を受けるといった経営判断を迫られることになります。
さらに、新ガイドラインには再編成について、「公的病院、民間病院との再編を含む」と明記されており、公立病院の統廃合を促すための財政支援の仕組みも見直されています。現在、新築や建て替えの費用の30%が地方交付税を支給されていますが、統廃合に伴う新築や建て替えには40%まで増額されることになっているため、再編を検討する病院がさらに増える可能性があります。
新公立病院改革プランは、地域医療構想と地域の実情を考慮しながら、病院の将来像を計画へ落とし込まなければならないため、根拠ある判断材料の収集と具体的なシミュレーションが必要になります。
プランの策定や実施状況の点検・評価に要する経費は、地方交付税による措置があるため、外部の調査会社やコンサルティング会社を利用して足りない部分をうまく賄う方法が賢いやり方かもしれません。