7月21日に閣議決定した骨太方針2026など5つの国家戦略の方向性(厚労省)
2026/07/29
厚労省は7月24日、社会保障審議会医療部会を開催し、政府が21日に閣議決定した骨太方針2026など5つの国家戦略の方向性を確認した。
【5つの国家戦略】 2026年7月21日に閣議決定された「骨太方針2026」「日本成長戦略」「地域未来戦略」「規制改革実施計画」「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の概要を整理し、各戦略の目的や重点施策を一覧で示した。各戦略は相互に連動し、「強い経済」と持続可能な社会保障制度の実現を目指す国家戦略として位置付けられている。
【骨太方針2026】 人口減少・少子高齢化を見据え、社会保障制度改革、地方創生、DX・GXなどを一体的に推進し、「責任ある積極財政」の下で成長と財政健全化の両立を図る方針を示した。
【日本成長戦略】 AI・半導体・GX・創薬など17の戦略分野を対象に、2026~2030年度を集中投資期間として官民投資を加速し、AX(AIトランスフォーメーション)を全産業の共通基盤として推進する方向性を示した。
【地域未来戦略】 日本成長戦略の地方経済版(地方創生)として、戦略産業クラスターの形成や地域インフラ、人材育成、地域金融力の強化を進め、地域経済の活性化と地方創生を一体的に推進する方針を示した。
【デジタル社会の実現に向けた重点計画】 AI活用を前提としたデジタル社会の実現を目指し、行政・医療・自治体のDXを推進するとともに、2030年頃を見据えたデジタル基盤の整備を進める方針を示した。
【規制改革実施計画】 AI・ロボットの社会実装、医療等データの利活用、自動運転、ローカルルールの見直しなど、民間投資や技術革新を阻害する制度・規制の改革を推進する方向性を示した。
今回の閣議決定は、医療・介護現場に対し、従来の「小規模分散・労働依存モデル」からの決別と、「デジタル武装された高効率モデル」への再設計を、2030年という明確な期限をもって迫るものとなっている。これら5つの戦略が交差することで、医療機関や薬局には以下の変容が強く求められている。
【「量の競争」から「質の競争」へ】 診療報酬を「行為の量(出来高払い)」ではなく「患者の改善成果(アウトカム・包括払い)」で評価する仕組みへの転換が議論(財政運営の建議)されている。
【「人手不足」へのAX適応】 AIやロボットを単なるツールではなく「新たな労働力」と見なし、少ない人員でも回る高効率な経営体(サービス産業)への脱皮が求められている。
【「経営実態」や「給与水準」の見える化】 医療機関の収益の大部分が保険料と税金(公金)で賄われ、医療法人等の経営情報の見える化が強く求められていることから、MCDB(医療法人経営情報データベース)への職種別給与の報告義務化は2026年中に結論を得るとした。透明化されたデータを基に、診療報酬改定では「施設類型や職種に応じたエビデンスに基づくきめ細やかな配分」を実施する。
【2030年末までのデッドライン】 電子カルテ普及率100%などのデジタル基盤完成のデッドラインを2030年末と設定し、2028年度や2030年度の報酬改定を通じて、生産性向上や対人業務への報酬誘導はさらに加速していく可能性がある。

