制度上、療養通所介護の経営は難しいのが現状です。
療養通所介護の介護報酬は、一般の通所介護と比較すると、高く設定されています。しかし、実際に運営している事業所では、送迎や入浴介助の際、重度の利用者に対応するため、人員基準より多くの人員が必要になっているなど、評価の見直しを求める声が多く、制度上の課題が残っています。
実際に療養通所介護を運営している法人の多くは、病院や訪問看護を運営している法人です。
なぜなら、病院にとっては入院患者の自宅療養を可能にすることができ、在宅復帰率を高めることが可能になるからです。また、療養通所介護の利用者の9割強が訪問看護を利用しており(平成20年 財団法人日本訪問看護振興財団調査)、利用者の増加を狙って事業展開している法人が多いと考えられます。
療養通所介護は最大定員が9名であるため、単体では大きな利益の確保は期待できませんが、上記のような間接的な影響も含めれば、事業展開のメリットが出てくる可能性があります。
現在、社会保障審議会介護給付費分科会において、平成27年4月の介護保険制度改正・介護報酬改定について議論されています。
当分科会では、療養通所介護に関する論点として、「在宅での重度要介護者の療養生活継続への対応を強化するため、療養通所介護における重度要介護者への対応体制を評価することとしてはどうか。」を挙げています。
団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向け、国は『「施設から地域」へ、「医療から介護」へ』というスローガンのもと、様々な施策を実施しています。
今後、病院や施設に入れない医療依存度の高い患者や重度要介護者への対応ができるサービスとして、療養通所介護は期待されていますので、報酬上も評価が高まる可能性が高いと考えられます。